人口は経済発展に伴って減る傾向にある。中国を抜いて人口世界一のインドや、成長著しい東南アジアも例外ではない。今世紀後半以降、アフリカ大陸を除く大半の地域で人口減少が進む。それは、各国の社会や政治、国際関係のあり方をどのように変えるのか。生産年齢人口の減少が急激に進む中国の現場を追った。 国境地域、慢性的な人手不足 中国広西チワン族自治区の中心都市・南寧市から西南西の方角へ約180キロ走ると、石灰岩の山に囲まれた地域に入る。ベトナムとの国境地帯に位置する人口約12万人の町、憑祥(ひょうしょう)。あちこちで目につくのは、ベトナムナンバーをつけた大型トレーラーだ。南寧市とベトナムの首都ハノイのほぼ中間点にある地の利から、東南アジア産の果物や木材の流通・加工の拠点として栄えてきた。 漢の時代から関所だった憑祥の税関は、陸路の取扱高で中国有数とされる。現地を訪れると、マンゴーやスイカ、ドラゴンフルー