ブックファースト新宿店で毎年開催されている名著百選が今年も開催されている。12月31日まで行われているのでお近くの方は足を運んでみてほしい。 筆者もなぜか選者に選んでいただいたので、一冊紹介している(文芸畑の仕事をしているわけではない自分になぜこういう役割が回ってきたのか、詳細は知らない)。今年刊行の本ではないが、ある意味でタイムリーな本を選べたと思う。選んだ本は、米国副大統領候補のJ.D.ヴァンスが2016年に書いた自伝的な回想録『ヒルビリー・エレジー』である。 選評を引き受けたときはまだ大統領選の帰趨は明らかでなかったので、一つの賭けだったが、選挙が共和党の勝利に終わり、ヴァンスが副大統領に就任することは確実になっている現在、第二次トランプ政権の中枢を担う人物がどのような生い立ちを経てどのような価値観を形成するに至ったかを知っておくことの意味は大きい。 本書は、一般に米国の労働者階級が

