【ローマ藤原章生】出版点数で日本の約8割に及ぶイタリアだが、図書館利用者が減り続け、国の予算も過去5年でほぼ半減した。「図書館の衰退は文化が売り物のイタリアにとり大きな痛手」と関係者は嘆いている。 毎年12月にローマ南郊のエウルで開かれる書籍祭り「ラ・フィエラ」。今年は昨年より1割多い約5万5000人が入場。会場には409の出版社が並び、総売り上げも昨年比で2割増えた。 昨年来の不況で、自動車や家電、衣類の売り上げが落ち込むのに対し、美術館や観劇と並び書籍の売り上げも伸びる傾向にあり、ローマの書店は常ににぎわっている。 国立統計局の調査では、人口6000万のイタリアで年に1冊以上読む人は約2400万人だが、月1冊以上となると320万人に減る。ブックフェアの盛況ぶりから、「読書人口が増えている」(レプブリカ紙)という見方もあるが、図書館は衰退している。 文化省によると、05年に約190万人だ