国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授 (前NTTデータ フェロー システム科学研究所長)山本 修一郎 最近、Use Case図やUMLで知られるJacobsonらが取り組んでいることが、理論に裏打ちされた実践的なソフトウェア開発方式SEMAT(Software Engineering Method and Theory)である[1][2][3][4]。 SEMATについての最初の書籍が2013年1月に出版された[1]。筆者もAMAZONで早速入手して読んでみたところ、小説仕立てで要求を抽出してソフトウェア・システムとして実現して運用するまでの物語を展開しており、具体的にSEMATとはなんであるかが分かりやすく解説されている。本稿では要求工学の立場からSEMATについて説明しよう。 SEMATのプリンシプル SEMATには、活動可能性、拡張性、実務性という3つのプリン