〔政治・経済部門〕 善教 将大(関西学院大学法学部准教授) 『維新支持の分析 ―― ポピュリズムか,有権者の合理性か』(有斐閣) 日本の地方政治は、国政とは異なるダイナミクスを持つ。首長と議会が別々に公選される二元代表制、地域ごとの社会経済環境の違いなどが作用するためである。しかし長らくそれは、国政と同じ政党が、異なった勢力関係や提携関係の下で活動するという形をとってきた。1970年代に隆盛を迎えた革新自治体は、その典型であった。 ところが21世紀に入って、地方政治の独自性は地域政党の台頭という形で現れる例が目立ち始めた。その萌芽は1990年代以降の無党派首長の増大にあると思われるが、近年では首長が自らを支持する勢力を議会にも広げ、地域政党として活動するようになった。 この新しい現象に対して、政治報道と多くの政治学研究は、正鵠を射た理解を与えてきたとは言い難い。東京から遠く離れた場所にしか