一人ひとりの大久野島 毒ガス工場からの証言 著者:行武 正刀 出版社:ドメス出版 ジャンル:エッセイ・自伝・ノンフィクション 一人ひとりの大久野島 毒ガス工場からの証言 [編著]行武正刀 瀬戸内海に浮かぶ周囲4キロの大久野島(広島県)には、戦時中、毒ガス兵器を製造する陸軍の秘密工場が置かれていた。ずさんな安全管理体制の下、工場で働く人々は、毒ガスで体をむしばまれ、火事や爆発事故で命の危険にさらされた。 本書の編著者は、大久野島の対岸、現在の広島県竹原市忠海(ただのうみ)にある病院に1962年から40年近く勤務した内科医。診察に訪れた元工員らから工場での体験を少しずつ聞き取り、カルテの端に書きとめた。それを集めて一冊にまとめた貴重な証言集だ。 工場ができたのは29年。37年の日中戦争全面化で製造量が急激に増え、女性も働くようになった。 「全てが秘密なのでいつも憲兵に見張られ、私語などしません