歴史的な円安に歯止めをかけようと任期中の3年間に複数回の為替介入を指揮した神田真人財務官。対峙(たいじ)してきたのは、各国当局や市場関係者だけではない。円安を招く真因と見られる日本経済の弱さにも真正面から向き合ってきた。7月末の退任を前にした置き土産とも言えるのが2日に公表した、「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋」と題した懇談会の報告書だ。 「宇宙人」が抱いた危機感 「日本の将来を心配している方々が多い中で危機感を確認し、厳しい状況をばねに、どうしたら日本をよくできるか、かなり深く議論できたのは有意義だった」。懇談会の報告書を公表した2日、神田氏は報道陣を前に手応えを語った。 懇談会は神田氏の主催で3月にスタート。海外との貿易や投資などの取引状況を示す国際収支を切り口に、日本経済の課題を学者やエコノミスト20人と5回にわたって議論してきた。6月18日の最終回は予定を約1時間超える計2