故郷に帰る前は、複数の男と関係していた。 「女の不良品」「人間の不良品」であった私、男に貢いで借金を背負って働く私。可哀想な私。昔読んだ漫画の中に「同情という餌で男は釣れる」と台詞があった。初めての男の元から離れ、二番目の男からは思い出すだけで身の毛がよだつ言葉で捨てられ、男を憎み始めた「可哀想な私」に同情した男達が「可哀想な女を救いたい」物語を見出だしたのだ。苦労したんだね、可哀想だね、酷い男だね、助けてあげたいけれども僕は何も出来ないんだ、ごめんねと言いながら私を抱いた。 何も出来ないなんて最初からわかっている。二番目の男がそうだった。可哀想な若い女に同情した男は「愛してる」「好きだよ」という言葉を私に浴びせたくせに私が自分の中の理想の物語のヒロインではないと知った途端、私を捨てた。「あなた頭おかしいんじゃないですか」と、言われた。 私は同情という餌で釣れる男を軽蔑した。そして私は男の