ブックマーク / atori.hatenablog.com (13)

  • 『「世間」とは何か』 - あとりの本棚 〜SFレヴュー〜

    『「世間」とは何か』 著者:阿部謹也 出版:講談社 ISBN:4061492624 お気に入り度:★★★★☆ 内容序章 「世間」とは何か 第1章 「世間」はどのように捉えられてきたのか 1 歌に詠まれた「世間」 2 仏教は「世間」をどう捉えたか 第二章 隠者兼好の「世間」 1 「顕」と「冥」がつくりなす世の中 2 神判と起請文 3 近代人兼好 第三章 真宗教団における「世間」―親鸞とその弟子達 1 親鸞の「世間」を見る眼 2 初期真宗教団の革新性 第4章 「色」と「金」の世の中 ―西鶴への視座 1 西鶴の時代 2 恋に生きる女達 3 「金」と世の中 4 「色」と「金」で世をみる 5 「艶隠者」西鶴 第五章 なぜ漱石は読み継がれてきたのか ―明治以降の「世間」と「個人」 1 「社会」の誕生 2 「世間」の内と外 ―藤村の「破戒」 3 「世間」の対象化 ―「」と「坊っちゃん」 4 「世間」と

  • 『グラン・ヴァカンス』 - あとりの本棚 〜SFレヴュー〜

    『グラン・ヴァカンス』 著者:飛浩隆 出版:早川書房 ISBN:9784150308612 お気に入り度:★★★★☆ あらすじ仮想リゾート〈数値海岸(コスタ・デル・ヌメロ)〉の一区画〈夏の区界〉。南欧の港町を模したそこでは、ゲストである人間の訪問が途絶えてから1000年、取り残されたAIたちが永遠に続く夏を過ごしていた。だが、それは突如として終焉のときを迎える。謎の存在〈蜘蛛〉の大群が、街のすべてを無化しはじめたのだ。わずかに生き残ったAIたちの、絶望にみちた一夜の攻防戦が幕を開ける――仮想と現実の闘争を描く〈廃園の天使〉シリーズ第1作。 日人の作品はあまり読んでいないのだけれど、『ラギッド・ガール』はどうも必読書であるらしい。というわけで、その前作にあたる書と併せて購入。〈廃園の天使〉というシリーズとなり、未刊のものも含めて三部作となる予定だそうだ。 美しく繊細で透明感があり、残虐で

    summercontrail
    summercontrail 2007/04/04
    "主体は持ちたくないけど我だけはあるという人はさらに多い""日本人の作家の書く作品を私が苦手なのは、このあたりの自分と他人との区切りの付け方が、洋物ばかり読んで来た私には落ち着かないから"納得,私もそう
  • 『ひとりっ子』 - あとりの本棚 〜SFレヴュー〜

    『ひとりっ子』 著者:グレッグ・イーガン 訳者:山岸真 出版:早川書房 ISBN:9784150115944 お気に入り度:★★★★☆ あらすじ「この子がわたしの娘なの。生まれるのがほんの何年か遅くなったけれど」──待望の第一子となるはずだった女の子を失った科学者夫婦が選択した行動とは!? 子どもへの“無償の愛”を量子論と絡めて描く衝撃の表題作、星雲賞を受賞した数学SFの極北「ルミナス」、著者が追求しつづけるアイデンティティ・テーマSFのひとつの到達点「ふたりの距離」など、邦初訳2篇を含む7篇を収録する、日オリジナル短篇集第3弾カバーより 日で独自に構成されたイーガン短篇集。いつもながらアイデンティティをテーマとした作品が多く、意思決定とか決断とかについて、分解して思考実験してあり、通して読むとイーガンの興味の変遷が感じられて面白い。なかなかよくできた構成だと思う。ただ、登場人物達の

    summercontrail
    summercontrail 2007/02/15
    収録作品それぞれについて数行の紹介もあってありがたい
  • 『ゴールデン・エイジ 1 −幻覚のラビリンス』 - あとりの本棚 〜SFレヴュー〜

    『ゴールデン・エイジ1 幻覚のラビリンス』 著者:ジョン・C・ライト 訳者:日暮雅通 出版:早川書房 ISBN:9784150115852 お気に入り度:★★★★☆ スケールがでかくて面白い。不死が実現された遠い未来の話で、世界観の大掛かりな創りこみもなかなか凄いし、何よりストーリーがドラマチック。主人公ファエトンの失われた記憶をめぐって話は二転三転し、謎が謎を呼び、飽きさせない。それも半端な二転三転ではなく落差が大きい。巨万の富がからみ、欲望が渦巻き、正体不明の敵による陰謀の気配がちらついてと盛り沢山だ。この作品は三部作の一作目にあたる。 主人公ファエトンは、千年期を祝う記念式典のさなか、彼がかつて多くの人々に大変な損害を与えることを計画していたとほのめかされた。しかし彼には全く身に覚えがない。やがて彼は、自分の記憶が何世紀にも渡ってごっそり失わていて、感覚フィルターで、一部のものが見え

    『ゴールデン・エイジ 1 −幻覚のラビリンス』 - あとりの本棚 〜SFレヴュー〜
    summercontrail
    summercontrail 2006/12/21
    "アドマンチウム"原初の物質としてだったか,ファンタジー(元は錬金術用語?)deよく聞く/ほか
  • 『心は病気』 - あとりの本棚 〜SFレヴュー〜

    『心は病気』 著者:アルボムッレ・スマナサーラ 出版:サンガ ISBN:9784901679251 主体というものを考える上で、初期仏教テーラワーダ仏教のスマナサーラ長老の著書は参考になる。仏教では心とは何かということが徹底的に突き詰められていて、長老の著書にはそれが分かりやすく合理的に解説されているからだ。時には一般常識をも超えた考え方が述べられていて私にとってはそれがSFにもあい通じるところがあるのだが*1、指摘されてみるとなるほどと納得がいく。 日人の伝統的な主体の持ち方は、私には不思議に思えることが多々ある。この一種独特の主体の持ち方は、仏教の影響も色濃かっただろうと思う。私の独自の解釈ではあるが、自我をなくしましょうという仏教の教えを守ろうとして、日の社会では、自分の主体を自覚せずに済ませる方法が編み出された。天皇制、萌え、型、道などといった方法がそれだ。これらは判断基準を選

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    summercontrail 2006/12/14
    "主体というものを考える上で、初期仏教テーラーワーダー教のスマナサーラ長老の著書は参考に""自我をなくしましょうという仏教の教えを守ろうとして、日本の社会では、自分の主体を自覚せずに済ませる方法が""投影"
  • 『ダ・ヴィンチ・コード』 - あとりの本棚 〜SFレヴュー〜

    『ダ・ヴィンチ・コード』(上) 著者:ダン・ブラウン 訳者:越前敏弥 出版:角川書店 ISBN:9784042955030 お気に入り度:★★☆☆☆ 『ダ・ヴィンチ・コード』(中) 著者:ダン・ブラウン 訳者:越前敏弥 出版:角川書店 ISBN:9784042955047 お気に入り度:★★☆☆☆ 『ダ・ヴィンチ・コード』(下) 著者:ダン・ブラウン 訳者:越前敏弥 出版:角川書店 ISBN:9784042955054 お気に入り度:★★☆☆☆ 読んでみて、かなりがっくり。キリスト教的にはセンセーショナルなのかもしれないが、小説的には薄っぺらすぎる。まるでワイドショーのように、刺激的ならなんでもOKって感じ。どうしてこの内容で、あれだけ世界的なブームとなり得たのか、わからない。むしろ下手にストーリー仕立てにせずに、マグダラのマリアのドキュメンタリーにした方が、はるかに面白かっただろうと思う

    summercontrail
    summercontrail 2006/07/11
    "登場人物達の行動がことごとく不自然で、突っ込みどころ満載""一番駄目なところは、ネタ的には女性讃歌なのに、それが小説の全体を流れるバックボーンとして全然感じられないところ"
  • 『順列都市』(上・下) - あとりの本棚 〜SFレヴュー〜

    『順列都市』(上) 著者:グレッグ・イーガン 訳者:山岸真 出版:早川書房 ISBN:9784150112899 お気に入り度:★★★★☆ あらすじ記憶や人格などの情報をコンピュータに“ダウンロード”することが可能となった21世紀なかば、ソフトウェア化された意識、〈コピー〉になった富豪たちは、コンピュータが止まらないかぎり死なない存在として、世界を支配していた。その〈コピー〉たちに、たとえ宇宙が終わろうと永遠に存在しつづけられる方法があると提案する男が表れた……電脳空間の驚異と無限の可能性を描く、キャンベル記念賞、ディトマー賞受賞作カバーより 『順列都市』(下) 著者:グレッグ・イーガン 訳者:山岸真 出版:早川書房 ISBN:9784150112905 お気に入り度:★★★★☆ 一番最初に読んだイーガンの作品。けれどもどんな内容だったかすっかり忘れていた。仮想現実の世界を扱ったSFで、何

    summercontrail
    summercontrail 2006/04/21
    量子力学の観察者問題,アイデンティティ,キリスト教の否定が大きなテーマとのこと
  • 『ディアスポラ』を買う - あとりの本棚 〜SFレヴュー〜

    『ディアスポラ』を発売予定日の前日にゲット。早めに買えて、ちょっとうれしい。もったいないのであとがきから読み始めました。面白いって、早く続きを読みたい反面、読み終わるのがもったいなくてちびちび読んでしまうんですよね。なのでまずはあとがきから。 あとがきで、大森望氏が「イーガンは現在の地球上で最高のSF作家」だとべた褒めしてます。ほんと、そうですよね。科学的にはいろいろ言われているむきもありますが、どうせそのへんは違っていても私にはわからないので無問題。〈「人間的」とはどういうことか。あなたと同じ思想、同じ宗教、同じ好みetc.であることか。自分とは違っていることを「人間的ではない」と切り捨てるのは怠惰で傲慢なのではないか。〉(意訳)みたいな問題提起でショックを与えることができるのは、イーガン以外にはそうそういない気がします。 しかし『ディアスポラ』、出だしから難しそうなことが書いてありま

    『ディアスポラ』を買う - あとりの本棚 〜SFレヴュー〜
    summercontrail
    summercontrail 2005/09/22
    問題意識が卓越/物語のカタルシスはSFに不可欠ではないし/私が反発してしまう部分は彼の虚無への危険かな…
  • 読んだ本 - あとりの本棚 〜SFレヴュー〜

    『イメージを読む 美術史入門』 著者:若桑みどり 出版:筑摩書房 ISBN:9784480089076 『山七平の日歴史』(上) 著者:山七平 出版:ビジネス社 ISBN:9784828411774 『山七平の日歴史』(下) 著者:山七平 出版:ビジネス社 ISBN:9784828411781 『ミカドの肖像』 著者:猪瀬直樹 出版:小学館 ISBN:9784094023121 あらすじ コクドはなぜ旧皇族の土地を次々と取得し、プリンスホテルを建てることができたのか。その謎と西武王国・堤家支配の仕組みを、〈ミカド〉の禁忌に触れまいとする日の〈不可視のシステム〉の存在とともに、ひもといてゆく。 また、欧米人から喝采を浴びるオペレッタ「ミカド」をめぐって、世界史のなかに天皇制がどのように位置づけられていったかを探る。さらに、なぜ明治天皇の「御真影」が西洋人の風貌になったのかを

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    summercontrail 2005/07/05
    『イメージを読む』『山本七平の日本の歴史』『ミカドの肖像』"「日本教」がどういったことなのか、少し挙"
  • ミュージカル・バトン(Musical Baton) - あとりの本棚 〜SFレヴュー〜

    id:summercontrail さんからミュージカル・バトンをいただきました。ご指名いただいてありがとうございます〜。いろいろと忙しくて答えるのがすっかり遅くなってしまいました。申し訳ない。 Total volume of music files on my computer (コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量) 調べ方がわかりません。。検索する方法が何かあるんですかね?勝手にダウンロードされた音楽ファイルは、260Mぐらいありました。各ゾーンのBGMなんかです(笑)。 Song playing right now (今聞いている曲) 先日クイーンのミュージカルを見たので、そのあたりが聞こえてきたりします。 The last CD I bought (最後に買った CD) 満ち汐のロマンス Five songs(tunes) I listen to a lot, or that

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  • 『山本七平の日本の歴史』(上・下) - あとりの本棚 〜SFレヴュー〜

    『山七平の日歴史』(上) 著者:山七平 出版:ビジネス社 ISBN:9784828411774 『山七平の日歴史』(下) 著者:山七平 出版:ビジネス社 ISBN:9784828411781 essaさんの書かれていた山七平氏のの紹介(http://amrita.s14.xrea.com/d/?date=20050412#p02)が面白そうだったので、『山七平の日歴史 (上)』を買ってみました。まだ最初のあたりしか読んでいませんが、私にとってはすごく面白い。多くの日人の根底にある思想、無意識に信じているそれを彼は「日教」と呼び、それが何なのかを言語化してくれています。 私もそれを理解したいと思って、ここ何年かいろいろ考えてきました。そうして辿り着いたのが高原英里氏の『無垢の力』と井沢元彦氏の『言霊』でした。山氏の説く「日教」もこれらとの類似が見受けられるし

    summercontrail
    summercontrail 2005/04/15
    「日本で暮らす以上、「虚のエネルギー」は避けて通れないように思えます」
  • 2004-09-12

    『ファウンデーションの勝利』(上) 著者:デイヴィッド・ブリン 訳者:矢口悟 出版:早川書房 ISBN:9784150114824 お気に入り度:★★★★☆ 『ファウンデーションの勝利』(下) 著者:デイヴィッド・ブリン 訳者:矢口悟 出版:早川書房 ISBN:9784150114831 お気に入り度:★★★★☆ アシモフの〈銀河帝国興亡史〉シリーズの続編を、3人の別のSF作家が書く〈新・銀河帝国興亡史〉シリーズの第3弾。 アイザック・アシモフは私の好きな作家だ。代表的なシリーズに〈銀河帝国興亡史(ファウンデーション)〉シリーズがある。これは壮大な帝国の衰亡とその後の暗黒時代を阻止するための活躍を描いたものだ。人の行動は個々には予測がつかないが、ある程度の規模の集団を長期的に扱えば、統計で予測が可能となる。こんな架空の学問である「心理歴史学」を核として展開したのが〈銀河帝国興亡史〉である。

    2004-09-12
  • 『時間のかかる彫刻』 - あとりの本棚 〜SFレヴュー〜

    『時間のかかる彫刻』 著者:シオドア・スタージョン 訳者:大村美根子 出版:東京創元社 ISBN:9784488619022 お気に入り度:★★★★☆ あらすじ著者満悦の中編「ここに、そしてイーゼルに」を劈頭に、ヒューゴー/ネビュラ両賞受賞の話題作、地球を追われた少年少女の成長譚「箱」、十二編を収録。書は、著作リスト上の数年の沈黙を破ってシオドア・スタージョン自ら健在と成長を宣した、往年の名品集である。(『スタージョンは健在なり』改題) カバーより シオドア・スタージョンは結構好きな作家の一人だ。もうずっと以前に読んだ『夢見る宝石』と『人間以上』がなかなか良かったからだ。彼の作品は社会的な弱者に対するまなざしが暖かい。そもそも「弱者」と言ってしまうと、その時点で自分が強者に立って見下ろして憐れんでいるような色合いが出てきてしまうが、彼の場合は憐れみなどではなく、むしろ憧れにも似た人間讃歌

    『時間のかかる彫刻』 - あとりの本棚 〜SFレヴュー〜
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