博覧強記の料理人、美味の迷宮を東奔西走す! 日本の「おいしさ」の地域差に迫る連載。 前回に続き、名古屋のローカルフード、あんかけスパゲッティについて考察します。 ローカルフード周圏論② 名古屋で生まれた独特な洋食スパゲッティは、一時はやや廃れそうにもなりましたが、「あんかけスパゲッティ」という名称を得たことで新たにローカルグルメと認知され、ブームに乗って復活・大躍進を果たしました。そしてその躍進の陰で、主流とは異なるタイプのそれは、残念ながら淘汰されていった、というのが前回までの話です。 淘汰された中には、主流のあんかけスパゲッティよりおそらく歴史自体は古いと推定される「ハーブ系」のあんかけスパゲッティがありました。僕がこれに初めて出会ったのは、愛知県ではなくお隣の岐阜県です。 岐阜駅からほど近い場所にあったその店のあんかけスパゲッティは、少なくとも主流のものとは大きく異なりました。とろみ