タグ

ブックマーク / finalvent.cocolog-nifty.com (17)

  • [書評]脳科学は人格を変えられるか?(エレーヌ・フォックス): 極東ブログ

    読みながら、「うぁ、ここまで言っちゃっていいのか」と、その大胆でスリリングな主張に、何度もうなった。『脳科学は人格を変えられるか?(エレーヌ・フォックス)』(参照)である。 たとえば私が不用意にこんなことを言おうものなら、今の日のネットの世界では、トンデモ、偽科学、科学リテラシー皆無といった罵倒を多数くらうんじゃないか、ともふと思った。その内容はどんなものか? これらの発見は、遺伝子は何世代もかけてゆっくり変化するという伝統的なダーウィンの進化論の概念とまっこうから対立するものだ。 「伝統的なダーウィンの進化論の概念とまっこうから対立」していいのか? いや、現代のダーウィンニズムは「伝統的なダーウィンの進化論」とは異なるから、それでいいのだ……ともいえる。だが、ここでは「遺伝子は何世代もかけてゆっくり変化する」という考えは、あっさり否定されているのである。そこまで言っていいのだろうか? 

    [書評]脳科学は人格を変えられるか?(エレーヌ・フォックス): 極東ブログ
  • [書評]森有正先生のこと(栃折久美子): 極東ブログ

    大人にしかわからない上質な苦みのある、美しく同時に醜悪な恋愛小説のように読んだ。五十五歳の知的な男に三十九歳の才能のある女が十年ほど恋をする物語。さりげないフレーズに当の恋愛にはこの感触があると何度も煩悶のような声が自然に喉を突く。恋愛といっても、肉体的な交わり……少なくとも肉体の哀しみと歓びは表向き描かれていない。その契機が存在してなかったようにも読める。が、この物語の質はキリスト教のいう肉、サルクスというものの、胸引き裂かれるような絶望感にある、と思う。 小説ではない。森有正という男と栃折久美子という女の現実の物語だ。私もこの物語のある重要人物を知っていたので、この物語のごく一部だが魔法のように織り込まれたような感覚を味わった。しかし森有正という男を知らない今の日人でも、大人ならこの物語の味わいがわかるのではないか。と、自分がさも大人であるかのように書くのだが、そういう大人とは大

    suna_zu
    suna_zu 2023/04/20
    有まで苗字ではない。
  • みなさん中央銀行について何かご存じですか?: 極東ブログ

    みなさん中央銀行について何かご存じですか? 「中央銀行ですよね。山梨県?」なるほど山梨中央銀行ってありますね。ほかのみなさん、どうですか?「あたし知ってます。偉い人が使う銀行です」 みなさんが使ってるんですよぉ。「使ってませ~ん」ほかにお答えはありますか?「お札刷っているところです」そうです。はい、この千円札をよく見て下さい。カメラさん寄って。日銀行券って書いてありますよね。日の中央銀行である日銀行が刷ったからんです。「あ、ほんとだ。書いてある。知らなかった」そうなんです。「銀行ってお札刷るんですか?」いえいえ。「中央銀行だけはいいんですよね。でもなぜいいの?」いい質問ですね。では中央銀行ついてご説明いたしましょう。 中央銀行は英語でセントラバンクといいます。パネルを見てください。中央に英語で"Central bank"とありますね。そしてまわりに銀行があります。 「やっぱり偉いんじ

  • トランプ政権のシリア空爆をどう見るか?: 極東ブログ

    トランプ政権によるシリア空爆をどう見るか? たぶん、こういう見方が出るんだろうなという見方が、ダイヤモンドオンラインに掲載されていたのをたまたま見かけた。軍事ジャーナリスト・田岡俊次による「米シリア攻撃の大義名分「化学兵器使用」は当にあったか」(参照)である。その論点の1つは、「シリアが化学兵器を使ったとは思えない」ということで、その理由が「いくつか」示されている。 問題提示としては、「アサド政権が化学兵器使用したのか?」として理解できる。だが、そうすると、「アサド政権なのか?」という疑問と「サリン等の神経ガスか?」という疑問が重なる。同議論では、後者についてはあまり触れず、前者については「旧ヌスラ戦線の「自作自演説」や、シリア軍の航空攻撃の際の「飛散説」の方が可能性は高いと思われる」としている。その上で同議論は、2003年のイラク攻撃と同様に国連安保理の決議もなく進めた軍事行動であり、

    トランプ政権のシリア空爆をどう見るか?: 極東ブログ
  • [書評] 超一極集中社会アメリカの暴走 (小林由美): 極東ブログ

    昨日の書評カテゴリーの記事で、僕は日の産業や技術を少し悲観的に見ていると書き、その理由は別の書評カテゴリーの記事で書くつもりでいることを書いた。これがそれになる。『超一極集中社会アメリカの暴走』(参照)という3月に出たである。 表題は内容をよく表しているといっていい。現在の米国では、富が超一極集中しているという事実について、この分野にいる著者らしいデータを元にした議論が進められている。私たち日人の多くは、米国社会で富の一極集中が起こり、その暴走の派生として、サンダース候補ブームやトランプ政権支持のような異常とも言える事態が起きたことは知っている。しかし、その内実の仕組みについては、識者はある程度知っているが、日社会としてはあまり知られているとは言えないだろう。書は、その仕組みが広範囲にわたって示されている。 扱われる分野は多岐になり、そのぶん、個々の技術についての考察については、

    [書評] 超一極集中社会アメリカの暴走 (小林由美): 極東ブログ
    suna_zu
    suna_zu 2023/03/05
  • そして女児殺害事件と遠隔操作事件の報道は途絶えた: 極東ブログ

    たぶんこんな疑問を持っている人は少ないと思うが、私は、栃木女児殺害事件PC遠隔操作事件の報道がどのように推移していくか、この間、見つめていた。そして、どうやら、この二事件の報道は途絶えたかに見える。理由は難しくない。他の話題が生まれているし、この件では新しいネタが投下されないからだろう。私は違和感をもっている。 私の読み落としかもしれないが、女児殺害事件について最新の主要な週刊誌で見かけることがなかったのも違和感を強くした。週刊誌の読者層がすでにこの話題に関心をもっていないという理由も当然あるだろうが、その統制されたような沈黙に奇妙な印象を受けている。少なくとも、この事件には、どうやら確たる証拠もなく、冤罪事件と同じ構図があるのにそのことへの言及すらない。 ネットから見渡せる範囲が主になるが、その他の報道でも見かけなくなった。だが、その言わば消灯とも言える前、この事態の前に、逮捕後一週間

    suna_zu
    suna_zu 2023/03/05
  • 第五管区海上保安本部海上保安官を逮捕できず: 極東ブログ

    尖閣ビデオのユーチューブ流出に名乗り出た第五管区海上保安部海上保安官(43)だが、今日夕刻逮捕されないことに決まった。国民世論としても納得のいく結論だっただろう。流出された映像が国家機密だというなら、なぜ毎日NHKのニュースでその映像が国民のお茶の間に流れているのか誰も説明できない。 逮捕しないとの決断に至る説明は、NHK「逮捕せず任意捜査進める方針」(参照)では次のとおり。 警視庁と東京地検は、政府が一般には公開していない映像を職場の共用パソコンから入手した疑いがあることから、国家公務員法の守秘義務違反に当たるという見方を強め、15日、今後の捜査方針について協議を行いました。その結果、これまでの説明に事実関係と大きく異なる点はなく、みずから出頭していることから、証拠を隠したり逃亡したりするおそれはないと判断し、海上保安官を逮捕せず、任意で捜査を進める方針を固めました。 時事「海上保安官

  • [書評]ゼロからトースターを作ってみた(トーマス・トウェイツ): 極東ブログ

    先日トースターを買い換えたおり、6年くらい使った以前のトースターを分解してみた。正確に言うと、壊れたので分解して直せるかと思ってやってみたのだった。直せないこともない。というか分解修理は二度目だった。バラしてみて、どうしようかと思った。そんなに高いものでもないしと悩んだ。が、買い換えた。T-Falの新しいトースターである(参照)。新品、その後どうか。快適。いわゆるトーストだけでなく、クロワッサンのあっためとか便利だった。あんパンをさくっとあっためても、うまい。 それはさておき、分解したトースターのポップアップの仕組みの一部に電磁石を使っているのを見て、それなりにメカニカルではなく電子的な制御もしているのだなと思ったものだった。ほかには、これは単純な機械だな、自分でも作れるんじゃないか、とも思った。 この、まさにそう思ったトーマス・トウェイツ君のトースター作成プロジェクトの記録である。 ト

  • [書評]人生は負けたほうが勝っている(山﨑武也): 極東ブログ

    あまりブログを書く気がしない。なら書かなくてもいいのだろうが、思うことがないわけでもない。またあまりストレートなことを書くのもなんだしと逡巡して時は過ぎる。そんなことを思いながら雑多に読んだの山を見ていると、「人生は負けたほうが勝っている 格差社会をスマートに生きる処世術 (山﨑武也)」(参照)を見つけた。 今年の年頭に出たもので書店で表題を見て惹かれて読んだ。私も、人生っていうのは負けたがほうが勝ちだよな、と思っているくちなので、同意見だなとそれだけの理由で読んだものの、いろいろ啓発されることがあった。ただ、こういうのは若い人にはわからないことが多いだろうしとこれもまた時が過ぎ去った。が、さらりと再読してやはりこれは良書というか、30代くらいのビジネスマンなら今読んでおくとおかないとで20年後に違いがでるかもしれない大人の知恵が詰まっているなと思った。ので、ちょっとエントリに書いてみる

  • [書評] スーパーヴィジョンのパワーゲーム ―― 心理療法家訓練における影響力,カルト,洗脳 (リチャード・ローボルト): 極東ブログ

    [書評] スーパーヴィジョンのパワーゲーム ―― 心理療法家訓練における影響力,カルト,洗脳 (リチャード・ローボルト) 社会に読まれるべき内容でありながら、専門書ゆえに読みづらいという書籍がある。あるいはすべての専門書が来はそうであるのかもしれない。そこで社会と専門書の間を取り持つような、あるいはのようなものが必要となり、書かれることがある。 専門書の著者に新書のような体裁で執筆することを編集者が頼むことが多いだろう。そしてそれらのいくつかは成功するが、多数は失敗する。と、もったいぶった言い方をしたが、「まあ、それはそういうものだ」ということでしかない。だが、起点にあった「社会に読まれるべき内容」はどうなるのか。取り残されてよいわけはない。書を読みながら、この内容は実は「社会に読まれるべき内容」なのだという思いが、先見的な失敗を予想するとき、たとえば読者としての私は、さて、何を言

    [書評] スーパーヴィジョンのパワーゲーム ―― 心理療法家訓練における影響力,カルト,洗脳 (リチャード・ローボルト): 極東ブログ
  • 仏教入門おわり(補遺): 極東ブログ

    今月の文藝春秋の仏教特集を読みながら、自分と仏教との関わりをちょっと書いてみたくなり、書いてみると、思ったより長くなりそうなので、4回に分けた。書き残しはいろいろある。が、あとは余計なことだ。とはいえ、その余計なことを少し書いて、終わりにしたい。 法華門については触れなかった。日の仏教は天台宗を基軸としているし、私は比叡山から坂の地が好きだ。酒井阿闍梨も素晴らしいと思う。法華経は教養として誰も読み下し文なり、口語訳なりは読んでおくべきだとは思う。日蓮の主要著作も歴史的には興味深い。特に、その弟子たちの活動が歴史的には面白いと思う。日蓮については、私は千葉の誕生寺とその界隈の伝説が好きだ。私の気質はむしろ日蓮に近いかもしれない。が、それ以上の関心はない。ご覧通り、私は、念仏無間、禅天魔、真言亡国、律国賊である。 仏典については、法華経以外に、ドラマティックな維摩経や勝鬘経など教養人は口語

    suna_zu
    suna_zu 2022/12/22
    法華
  • 仏教入門その4: 極東ブログ

    禅について書いても、無意味なのではないかという気もする。世人は玄侑宗久「禅的生活」で満足しているようだ。日の禅は臨済禅か。私には関係ない。が、今禅について思うことを少し書いてみたい。 禅について書かれたは面白いが。それは罠だ。禅の障害である。そうわかっていても、面白いものは面白い。この一冊というなら、臨済録だろう。最後にオチもある。臨済の禅は臨済の死をもって終わる。当に終わったのだ。 臨済に関連して中国禅の話は柳田聖山「禅思想」が面白いには面白い。柳田聖山のものはよく読んだが、もういい。我が邦の禅師では一休宗純。その狂雲集はどうか。隠元、白隠、鈴木正三の語録はどうか。もういいなと思う。 碧巌録はどうか。無門関はどうか。趙州無字。犬に仏性はあるか。くだらない。この公案の答えは、くだらない、だ。 なぜか。それは「一切衆生悉有仏性」をなんと読み下すかにかかっている。そこに禅は極まると思う。

    suna_zu
    suna_zu 2022/12/22
  • 仏教入門その3: 極東ブログ

    浄土教については、自分の宗教的な関心から歴史的な関心がおろそかになりがちになる。だが浄土教に宗教的な救済を求めることは無意味だとも思う。が、それは確実に私の一部となっている。 15年くらい前になる。一人熊野詣で山を越えて歩き回ったことがある。山の中腹でふと振り返ると、眼下に昔の大社跡が、それがなるほどというくらい、浄土のように美しく見えた。浄土教というのは、あの美しさや輝きを持つものだと思った。また、のたれ死にも悪くないと思えるほどの孤独に感覚が麻痺していたころ、当麻寺の練供養会式の後の春の夕暮れが浄土を連想させるほど美しかった。飛鳥のレンゲ田にたたずみながら、多数の天人たちが今、大空から駆け下りてきても不思議でなく思えた。あの陶酔感や、沖縄のエイサーのもつ躍動感のなかに、浄土教の歴史的な扉があるのだと思う。その美に惹かれる。それでいて私は宗教的にはいつも浄土教にはなにかに戸惑っている。

    suna_zu
    suna_zu 2022/12/22
    浄土教
  • 仏教入門その2: 極東ブログ

    密教には随分と心惹かれた。が、今はほぼその興味を失ってしまった。そんなことを書くのもどうかと思うが、なにしかしら書いてみたい気だけはする。 日人として密教といえば、空海ということになる。空海は非常に難しい。原典もなんどか挑戦したが歯が立たないという感じがする。この恐ろしい知識人は当に古代人なのか。人間離れしている。道元も恐ろしいほどの知識人だが、それでもまだ人間という感じがするが、空海に至ってはほぼ人間とは思えない。空海、つまり弘法大師はそれ自身が伝説のようでもあり、その伝説からもアプローチしたが、よくわからなかった。 日人はなぜこうも御大師様に惹かれるのだろうか。10年以上も前だが高野山密厳院に泊まった小雨の深夜、人っ子一人いない奥の院を詣でたことがある。四方墓ばかりの暗く湿った参道を歩きながら、そうして行けば、生きていらっしゃる大師に会いできそうな気がした。神秘的な体験はなかった

    suna_zu
    suna_zu 2022/12/22
    密教
  • 仏教入門その1: 極東ブログ

    私は仏教を理解しているとはとうて思えない。私の仏教入門など、お笑いぐさだろうと思う。が、メモがてらに書いてみたい。自分の人生のちょっとした追想のようなものであるからだ。 仏教を知るのに最適な書籍はなにか。私の結論は「大乗起信論」である。現代語訳付きで安価な岩波文庫のものが近年出ているのだが、アマゾンを見たらすでに在庫がない。ある意味、よいことだと思う。大学の教科書などで利用されているのだろうと推測する。皮肉を言えば、よって、古書でより安価にありそうなものだが、アマゾンの古書にもない。 現代思想かぶれには、井筒俊彦の「東洋哲学覚書 意識の形而上学―『大乗起信論』の哲学 中公文庫BIBLIO」が受けるだろうが、井筒俊彦はあまりお薦めしたくない。デリダとかお薦めしたくないのと同じ理由だ。私は井筒のファンとも言ってもいいのだが、こうしたは若い人には害があるように思う。 現状、大乗起信論は安価なも

    suna_zu
    suna_zu 2022/12/22
    大乗起信論
  • [書評]感染症は実在しない―構造構成的感染症学(岩田健太郎): 極東ブログ

    「感染症は実在しない」(参照)とは刺激的なタイトルであり、また前半は修辞的な議論が饒舌に展開するきらいはあるが、内容はいたって正統的な医学的な立場で描かれ、著者の履歴からもわかるように米国標準の臨床も批判的に踏まえている点で、今後の日の臨床のありかたを展望する内容となっている。日の医療がどうあるべきかに関心をもつ人には、必読とまでは言えないものの、多くの示唆を得ることができるだろう。また、一般向けに書かれているではあるが、実は医療関係者にこっそりウケのよい書籍ではないかとも思えた。 書での、感染症は実在しないということは、端的に言えば、感染症というのは現象であるということで、細菌やウイルスが実体的に存在しないという話ではない。 興味深い例が書かれている。2009年、日の社会で新型インフルエンザが流行したとき、通常なら季節型のインフルエンザは終わる時期なのに、報道などではこの年は異

    suna_zu
    suna_zu 2022/10/10
  • [書評]夫婦格差社会 二極化する結婚のかたち(橘木俊詔、迫田さやか): 極東ブログ

    今朝方、ツイッターから見える世間を眺めていると、「アメリカ/米国不動産投資日記」というブログの「東横線沿線の高校生は裕福? 日でも所得別住み分けが進行中?」(参照)というエントリーのリンクが目に付いた。それだけ見ても、だいたいエントリー内容は想像できるが、リンク先を開いて読んでみようと思ったのは、その想像の確認ではなく、もしかして、という思いがあったからだ。 もしかしてというのは、世帯の所得格差の考察において、夫婦共稼ぎの要因を考慮に入れてないんじゃないか、という思いともう一つの思いである。 リンク先を開いて該当エントリーを読むと、男女間の人口比は考慮されているが、夫婦共稼ぎの要因はさほど考慮されていなかった。もちろん、それゆえにその考察が間違っていると言いたいわけでは全然ない。おそらく、このエントリーのような考察においては、「夫婦共稼ぎによる世帯所得の要因に地域差はない」という前提が含

    suna_zu
    suna_zu 2013/11/10
    妻も働くかどうか。夫の収入。老親と3世帯。格差の感覚がジニ係数で示せない。所得住み分け。書は日本でダグラス・有沢の第二法則が崩れて妻が働く世帯が増えている主張。
  • 1