大ざっぱにいえば、2010年代の反差別論が「ネトウヨや歴史修正主義者は差別者」というものだったとすれば、2020年前後の反差別論は「差別構造に無自覚に加担するマジョリティも同じように差別者である」という方向へと段階が進んできた。ごく一部の極端な差別者のみならず、マジョリティであることそのものの日常的(everyday)な差別性が問題視されるようになってきた。 その一つが「男性特権」であり、不公平で不平等な性差別的構造に対するマジョリティ男性たちの無自覚な加担の問題である。しかし、マジョリティとしての多数派男性の特権性の問題を自分事として引き受けることに、まだまだ戸惑いや違和感を覚える男性たちも多いように思われる。 そうした状況の中で、あらためて、「弱者男性」論がネットを中心に注目されている。 とはいえ、そこで言われる「弱者」の基準は、今もまだはっきりしない。それは労働の非正規性や収入の話な
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