教育の役割は,社会生活に必要な能力を子どもに授けることですが,その能力は一般に「知・徳・体」の3側面から捉えられます。当局の答申や政策文書でも,嫌というほど目にする標語です。 教育評価の一環として,これらの要素を随時数値化する必要があるわけですが,知と体については,全国学力テストや体力テストにて毎年計測されています。しかるに,あと一つの徳については,それを測った客観資料は存在しません。 そもそも道徳の評価に際しては,「数値などによる評価は行わないものとする」とされていますので(学習指導要領),当然といえばそうですが,この面の資質・能力を定量化することができないわけではありません。今回は,このタブーの領域に足を踏み入れてみようと思います。 用いるのは,2014年度の文科省『全国学力・学習状況調査』のデータです。本調査は教科の学力だけでなく,対象の児童・生徒(小6,中3)に対する質問紙調査によ