マシュー・ブラウン監督『奇蹟がくれた数式』を見た。インドからケンブリッジに渡った有名な数学者らマヌジャンと、その指導教員だったG・H・ハーディに関する伝記映画である。 話自体はマドラスに家族を置いて単身ケンブリッジに渡ったラマヌジャン(デーヴ・パテール)が、型破りな天才ぶりとインド人に対する差別のせいで酷い扱いを受け、また食べ物や気候のせいで体も壊してしまうというかなり悲惨なストーリーである。ただ、そんな中でも必死に数学研究を進めようとするラマヌジャンと、それに感化されたハーディ(ジェレミー・アイアンズ)の交流が丁寧に描かれているので、地味で暗い話ではあるが、上品で後味も悪くないようにまとめられている。 面白いのは、天才で変人イメージのラマヌジャンよりもハーディのほうがはるかに変人であるところだ。ラマヌジャンは若くて愛嬌のあるパテールが演じているし、また故郷に残してきた妻ジャナキとの微妙な