●Tyler Cowen, “Interrupting Janet Yellen”(Marginal Revolution, October 28, 2022) 米国の政治家たちの間で「ジェンダー・バイアス」はどのくらい蔓延(はびこ)っているのだろうか? 本稿では、米国の議員の間で広がる性差別(sexism)の効果を厳密なかたちで浮き彫りにするために、FRB議長が招聘(しょうへい)された議会の公聴会の議事録の分析を試みた。具体的には、2001年から2020年までの期間を対象に、(女性初のFRB議長を務めた)ジャネット・イエレンをトリートメントに指定した回帰分析を行った。その分析の結果はというと、2001年から2020年までの間にイエレンだけでなくその他の男性のFRB議長(グリーンスパン、バーナンキ、パウエル)のうちの少なくとも誰か一人と公聴会で相まみえた経験がある議員らは、男性のFRB議長
差別的な発言を繰り返してきた国会議員を、どんな理由から政府の要職に起用したのか。任命した岸田文雄首相の見識を疑わざるを得ない。 第2次岸田改造内閣の総務政務官に就任した、自民党の杉田水脈(みお)衆院議員のことだ。 安倍晋三元首相らの後押しにより、過去2回の衆院選では、比例単独候補として党から優遇されてきた保守系議員である。 杉田氏は2018年、月刊誌「新潮45」への寄稿で、LGBTなどの性的少数者について「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり生産性がない」と記した。 20年9月の党会合では、性暴力被害者の相談事業をめぐって「女性はいくらでもウソをつけますから」と述べた。女性からの申告に虚偽があるかのように受け取れる発言だった。 かつて国会質問で「男女平等は反道徳の妄想だ」「男女差別は日本社会にはなかった」などと発言したこともある。 杉田氏は世論の批判を度々浴びたが、自説を明確に撤回せず、あや
Myanmar military personnel march during a parade to commemorate Armed Forces Day in Naypyidaw, Myanmar, March 27, 2022. © 2022 AP Photo/Aung Shine Oo (東京)- 日本で訓練を受けたミャンマー陸軍の准将が、少数民族地域で深刻な人権侵害に関与したとされる司令部に所属していた、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。ティン・ソウ准将は、2021年8月から2022年7月までシャン州南部やカレンニー州(カヤ州)での軍事活動を管轄する東部陸軍司令部(Eastern Command)にいた。同司令部が管轄する部隊は、市民の虐殺などに関与した。 日本政府は、ミャンマー国軍の軍事訓練を直ちに止め、他の訓練参加者が国軍による戦時国際法違反に関与しているか調査
韓国だけでなく、日本でも大ヒットした『タクシー運転手』は、1980年に韓国で起きた「光州事件」を取り扱った映画。一時期低迷していた韓国映画ですが、近年は新たな盛り上がりを見せ、日本でも多くの作品が上映されています。ライターの西森路代さんは、ここ数年の韓国映画は「悪」の描き方に変化があると感じているそうです。また韓国映画を「羨ましい」ともお話になっていました。西森さんの提案を受け、社会学者のハン・トンヒョンさんと、近年の日本・韓国映画を参照しながら、日韓両国の政治や歴史、社会について語り合う対談を実施。前編では、韓国での「悪」の描かれ方の変化と、日本での「悪」の描き方、そして韓国が辿ってきた歴史などについてお話いただいています(全2回)。 西森路代 1972年、愛媛県生まれのライター。大学卒業後は地元テレビ局に勤め、30 歳で上京。東京では派遣社員や編集プロダクション勤務、ラジオディレクター
仮蔵 @karizo2022 「経済制裁はいかにロシアを殺すか?」 米国ウィルソンセンターのフェロー、Kamil Galeev氏が書かれた論考記事です。経済制裁によってロシアがどのように崩壊していくか、具体的かつ明瞭な論旨で考察されています。一読の価値あり。時間がない方向けにまとめを一つツイートしてから詳細を和訳します。 twitter.com/kamilkazani/st… 2022-03-27 18:43:42 Kamil Galeev @kamilkazani How sanctions are killing Russia? Russia's falling. Old sanctions of 2014 sabotaged development of new innovative weaponry. New sanctions of 2022 are undermining Ru
シベリア抑留の生還者を祖父に持つ筆者は、幼少期より、ソ連・ロシアに関する話を聞く機会に多く恵まれた。そのような縁から、ロシア外交・安全保障政策の研究に携わるようになり、10年近くになる。そうした中で、単に書物から学ぶだけでなく、実際のロシア外交・安全保障政策形成の現場近くで経験を積む機会も得てきた。 2013年夏、筆者はロシア大統領令によって設立された外交諮問機関・シンクタンクである「ロシア外交評議会(РСМД: Российский совет по международным делам/ RIAC: Russian International Affairs Council)」において、外国人としては初の研究助手になり、2017-2018年度にはRIAC客員研究員として、日露関係やユーラシア地域統合政策に関する研究を行った。この間、前駐日ロシア全権大使で、日本語での書籍も出版されてい
ロシアの国営テレビが映し出す「現実」が、いかに現実と違うか。日本時間3月2日午前2時の画面が、その典型例だった。BBCワールドニュースは、ウクライナの首都キーウ(キエフ)でロシア軍がテレビ塔を砲撃したという速報で始まった。同じ時にロシアのテレビは、ウクライナの都市を攻撃しているのはウクライナだと伝えていた。 では、ロシアの人たちは、この戦争について何をテレビで見ているのだろう。電波を通してどのようなメッセージを聞いているのか。以下は、3月1日にロシアで主なチャンネルをザッピングしていた人が、目にしただろう内容の一部だ。主なチャンネルはロシアの場合、政府と、政府に協力する企業がコントロールしている。
2月24日、ロシア軍がウクライナを侵攻というニュースに、ロシア全土から悲しみと怒りと自責と謝罪の織り交ざった声が響いた。 2月25日、ロシアで広く尊敬されている作家・文芸批評家のドミートリー・ブィコフがラジオ局〈モスクワのこだま〉の持ち番組で、現在の状況を2時間近くにわたり語った。国を主語にものごとを考えることの危険を訴える、示唆に富んだ内容だった。その一部を、急遽ロシア文学者の奈倉有里さんに翻訳紹介していただいた。ヘッダー画像はウクライナ出身の画家アルヒープ・クインジによる作品「朝のドニエプル川」。(編集部) 1.形而上学的な憎悪にかられている今日の放送をしないで済むのなら、高い代償を払ってでもそうしたかった。自分の母親が亡くなった日と同じくらいの悲しみを抱え、それでも今日、逃げ出すことはできなかった。私たちが生きているあいだに、またもや戦争が起きた。 ロシアがどうやってこの戦争から抜け
内戦下のユーゴスラビアに対し、NATOやEUに加盟する国々が石油を禁輸する制裁に踏み切る中、ロシアはそれに参加しないことを記者会見で訴えるイワショフ・国防省国際軍事協力局長(当時)=1999年4月、モスクワ、ロイター プーチン大統領に戦争を止めるよう「直訴」したのは退役将校でつくる「全ロシア将校の会」。主導しているのは、会長を務めるレオニード・イワショフ退役大将(78)だ。現役時代にはコソボ問題なども担当し、NATO側と接触。NATOの東方拡大反対論者でもある。 1月末、会は公式サイトに声明文を発表した。その概要は次のとおりだ。 「今日、人類は戦争の前夜に生きている。戦争は巨大な悪、犯罪だが、ロシアは、迫りくるこの破局の中心にいる。外からの脅威はもちろんあるが、今、それは危機的ではなく、ロシア国家の存在や死活的国益を損なうものではない。NATOの軍勢は脅威となる活動を展開してはいない。だか
ロシアによるウクライナ侵攻は起こるのか。本稿を書いている今もなお、日を追うごとにキナ臭さを増していくが、それに比例して日本の言論空間でも不穏な空気が立ち込めている。一言で言えば、ロシアに批判的な言説に対する親ロシア的言説のカウンターだ。 司会者が「他国の領土を切り渡す」という解決法を提案 先日、BSフジでの討論番組に出演した現役議員がウクライナに非がある主張を展開し、司会者に至っては問題の解決方法として、「例えばそこ(ドネツク・ルガンスク地方)を切り取ってロシアに渡す」を提案するという、ロシアに一方的に有利な現状変更を積極的に認めるとしかとれない発言があった。21世紀に「他国の領土を切り渡す」という解決法を公言したことに、SNS上では衝撃を持って受け止められた。 また、朝日新聞デジタルでは記事に社内外の識者がコメントするコメントプラスという機能が存在するが、ウクライナ問題について識者によっ
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