落語に「心眼」という名作があります。三遊亭円朝が、弟子で盲目だった円丸からの話をもとにつくったとされ、その後、すこしの変更も加えられています。つぎのような話。 浅草の馬道に住む梅喜という生まれつきの盲目の按摩が、目が見えないことが理由で嫌なことを言われ傷つきました。梅喜は、女房のお竹に促されて薬師如来に21回のお参りをすることに。そして21回目。迎えた満願成就の日、お得意さまの上総屋のだんながいるまえで、目が見えるようになり、「目が明いた!」と喜びあいました。 梅喜の目に映るのは浅草の界隈。赤提灯や人力車などに驚きながら帰っていく途中、梅喜はだんなから「おめえの奥さんのお竹はなぁ、気立てはいいが顔は化けものみてぇだ」と言われます。すこし不安になる梅喜。