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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/semi_colon (17)

  • 恋する赤の女王 - 蝉コロン

    科学ちょっとタイトルの表現が婉曲的すぎた。病原体と宿主との終わらない進化の軍拡競争は、赤の女王仮説として知られているのだけれども、それにはやっぱりセックスが大事だよということを実験的に示した仕事。赤の女王仮説実験は昨年にも報告があって (http://www.nature.com/nature/journal/v464/n7286/full/nature08798.html)、細菌とそれに感染するファージで何かやってた。今回のはもちょっと高等な生き物で、共進化に有性生殖の意義をからめています。 走り続けなければ生き残れないwikipedia:赤の女王仮説「赤の女王」とはルイス・キャロルの小説『鏡の国のアリス』に登場する人物で、彼女が作中で発した「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない(It takes all the running you can do, to keep

  • DNAでもRNAでもない新たな遺伝物質XNAについて - 蝉コロン

    科学遺伝、進化できる物質作製に成功 生命起源や研究に貢献 - 47NEWS(よんななニュース)進化するだなんだ言っていますが、どうなんでしょう。実際の論文はこちら。 Synthetic Genetic Polymers Capable of Heredity and Evolution さて、DNAの構造はこんな感じです。http://en.wikipedia.org/wiki/File:DNA_chemical_structure.svgデオキシリボースという五炭糖(図中オレンジ)がリン酸(図中黄色P)を介して連なっていて、AGCTの塩基が枝みたいに伸びています。二鎖の相補対が点線で結ばれてます。ちなみに図でバックボーンと書かれているように、塩基がなくても縦のリン酸結合の数珠つなぎ自体は壊れない。DNA二鎖だったらそういう塩基のない部分は歯抜けみたいになりabasic siteと呼ば

  • 手塚治虫の学位論文を読んだよ - 蝉コロン

    研究者@h_hiraiさん経由で知ったtweet 手塚治虫の博士論文がついに誰でも見られるようになった。ありがとう、インターネット。GINMU: Item 10564/1075 URL 異型精子細胞における膜構造の電子顕微鏡的研究 2012-02-01 22:28:14 via web ということで、いつから読めるようになっていたのかは知らないのですが、眺めて見ました。GINMU: Item 10564/10751960年の奈良医学雑誌 Vol.11 No.5 p.719-735『異形精子細胞における膜構造の電子顕微鏡的研究』というタイトルでタニシの精子を電子顕微鏡で観察したのだそうですよ。ファイル名が「手塚治氏原稿(真).pdf」なのだけれど、(真)ってなんだろ。 透過型電子顕微鏡(TEM*1)は細胞内の超微細構造を観察する手段。サンプルを樹脂に埋めて、この樹脂の重合も季節によって配合を

  • 蚊にさされやすい人の皮膚と常在細菌 - 蝉コロン

    科学いやあ、雪降ってましたね。蚊の話題です。 Microbial communities on skin affect humans’ attractiveness to mosquitoes 蚊に刺されやすいとされる人がいます。何が蚊を引きつけているのか。体温だー呼吸(二酸化炭素)だー血液型だー男女差だー毛がモジャモジャだーといろいろ言われていますね。あれ、体温はスタンド能力の話だったかな。まあとにかくこれらの他に汗のニオイというのも蚊の誘引物質であることが言われています。しかし実は汗そのものは無臭で、匂いは皮膚の常在細菌たちがかもし出している。つーことは皮膚の常在細菌の構成によって、蚊が寄って来やすかったり逆に気が付かれなかったりするのではないか。 という研究。PLoS ONE論文。一応おもしろ研究じゃなくてマラリアを媒介するガンビエハマダラカAnopheles gambiae sen

    synonymous
    synonymous 2012/01/26
    『いやあ、雪降ってましたね。蚊の話題です。』
  • 地球上で一番仲間はずれな生き物 - 蝉コロン

    生物多様性Zoologger: The most bizarre life story on Earth? - life - 28 April 2010 - New Scientistより。その名はSymbion pandora。 大西洋に住むヨーロッパアカザエビの口器に寄生している無脊椎動物である。有輪動物門なのだけれど、これは一門一属である。他に誰もいない。門というと例えば我々なら脊索動物門なので、これはずいぶん根っこの所で一人ぼっちと言えよう。見た目はこんな感じ。どうですかね。SEM of two feeding stages of Symbion pandora on a Nephrops norvegicus seta; individual on left is in feeding position | EOLspecies Photographer: P. Funch an

  • rejectされた上にretractされた可哀想な論文 - 蝉コロン

    生活悪夢。rejectとretractはざっくり言うと、reject:投稿された論文が、その学術誌の掲載には値しないと判断され突っ返されること。retract:学術誌に掲載された論文が、何らかの不備により取り下げられること。のことで普通は両立しないはずです。何が起こったのでしょう。Eye of the needle? Paper about camels gets rejected, then published, then retracted « Retraction Watchより。 論文:RETRACTED: Detection and genotyping of GB virus-C in dromedary camels in the United Arab Emirates 10.1016/j.vetmic.2010.06.026 : Veterinary Microbiolo

    synonymous
    synonymous 2012/01/17
    「リジェクトしたのだけれども間違えて雑誌に載せてしまったので取り下げます」
  • 眠っていた遺伝子が目覚め超戦士化するアリ(動画アリ) - 蝉コロン

    科学, 動物Science論文:Ancestral Developmental Potential Facilitates Parallel Evolution in Ants 働きアリと一口に言っても、アリの種類によってかなりとんでもないものもいて(蜜壷アリとか)、アリの進化は凄いものだな、アーリーアダプターだなと思うわけだけれども、今回のは先祖が持っていた兵隊アリの超戦士化能力が復活したりするお話です。 オオズアリ(Pheidole)属というアリの種類では、エサを探すマイナーワーカーと外敵から巣を守るソルジャーの二つのカーストがある。オオズアリ属は現在までに1100種も見つかっていて世界中に生息している多様性に富んだアリである。研究者らがそのうちの1種Pheidole morrisiの野生のやつを観察したところ、ソルジャーの中にデカい、特に頭がデカいやつがいるな*1ということに気がつい

  • ヨーグルトに効果はあるのか - 蝉コロン

    ブログ更新お休み中だけど、ちょっと気になったので。 ヨーグルトに整腸効果が無い事がワシントン大学の研究より発表される:ハムスター速報及び ヨーグルトに効果なし? 双子の検討で腸内細菌に差なし | あなたの健康百科 by メディカルトリビューン これ10月頃の論文だったけど今さら話題になるのか。整腸効果がないと書かれているけれど、論文ではそんなところは調べていません。 と言いつつ、いまちょっと論文フルテキスト読めないのでこっちを引用。http://www.nature.com/news/2011/111026/full/news.2011.614.html Nature News、"Friendly bacteria move in mysterious ways"という記事。関係ないけどU2のShe moves in mysterious wayってどういう動きなんだろうと思ったりしたよね

  • 「霊長類」の「霊」って何?お化け? - 蝉コロン

    ぼやぼやちょっと別件で霊長類について思いを馳せる機会があり、そういえば何で霊長類って言うのかなーと。 まずは京都大学霊長類研のページを訪問。霊長類研究所・世界の霊長類原猿、サル、類人猿、ヒトをすべてあわせたグループを霊長類と呼んでいます。「霊長」とは、万物の首長たるものという意味です。分類学上の正式な和名は霊長目(プリマーテス、Primates)といいます。原猿類、新世界ザル、旧世界ザル、類人猿、ヒトを含み、現存するものは約220種が知られています。なるほど。ところで霊長類研究所の略語は霊研ですかね。霊験あらたか。英語のPrimateはランキング一位を意味するprimeから来ています。オプティマスプライムのプライムですね。ちなみに大司教様もprimateなので、絶対創造論を茶化すジョークがあるはず。 一番偉いんだぞというところは解ります。賛成するかどうかは別として、「長」の部分はオーケー。

    synonymous
    synonymous 2011/09/27
    大学内部では本当に霊研と呼ばれているそうな。
  • ゾンビ遺伝子と「延長された表現型」 - 蝉コロン

    科学, 動物ニュース - 動物 - 幼虫を操る“ゾンビウイルス”の遺伝子(記事全文) - ナショナルジオグラフィック 公式日語サイト先週ナショジオ読んで、かばかりかと思ってたんだけど、論文タイトル見ると「延長された表現型」とあったので興味を持ちました。 A Gene for an Extended Phenotype Science 9 September 2011: Vol. 333 no. 6048 p. 1401. DOI: 10.1126/science.1209199 ナショジオ記事をざっくり要約すると、バキュロウイルスは宿主であるマイマイガの幼虫を木に登らせて体を溶かす。ウイルス粒子を含んだ液体がボトボト落ちて、それをべた他の幼虫に感染する。EGT遺伝子を除いたウイルスを感染させると、幼虫は高いところに登らない。EGT遺伝子を持っていなかったウイルスにEGTを組み込むと、幼

    synonymous
    synonymous 2011/09/13
    タンパク質を作るだけじゃ機能発現とは言えないんだろうなぁ。
  • モルモットはげっ歯類で無いかもしれない - 蝉コロン

    動物という話を10年くらい前に聞いたのだけれども、あれはどういう事だったのかな、今ではどうなってるのかなと思い調べてみました。げっ歯類。ちゃんと言うとげっ歯目/ネズミ目なのかな。歯が出ている奴らです。モルモットは一応歯が出ていますが、仲間でないかもしれないとはいったいどういうことなのでしょう。 ネズミ目はネズミ亜目、リス亜目、ヤマアラシ亜目に分かれる。マウス、ラット、ハムスター、そしてビーバーなんかはネズミ亜目。リス亜目はリス。ヤマアラシ亜目はモルモット、カピバラ、ハダカデバネズミなんかがいる。 「門歯が伸び続ける」がこの目の定義ということになるのかな。ウサギがかつて門歯が伸び続けることからネズミ目の仲間だったのだけれども、その後に別の身体的特徴からウサギ目へと独立したそうだ。そして同じようにモルモットもネズミ目からの独立を叫んだのだけれども、それは1991年に出た"Is the guin

  • カラム奉行 - 蝉コロン

    「皆の衆!DEAE!DEAE!」

    synonymous
    synonymous 2010/07/01
    ケミストジョーク
  • 極寒の地に生きていたマンモスの蛋白質を再現 - 蝉コロン

    科学, ゲノムScientists Untangle Woolly Mammoth Genome - ScienceNOWNature Geneticsで報告された。Substitutions in woolly mammoth hemoglobin confer biochemical properties adaptive for cold tolerance : Nature Genetics : Nature Publishing Group研究チームはマンモス(woolly mammoth)のヘモグロビンに着目した。ヘモグロビンは御存知の通り、血中で酸素を運搬する役割を持つ。酸素分圧の高い肺で酸素と結合し、酸素分圧の低い末梢組織で酸素を放出する。ヘムの脱酸素が吸熱反応だから低温環境だと放出できず、細胞に酸素を受け渡す能力が落ちる。つまり寒いとエネルギー効率が悪い。 シベリアの永久

    synonymous
    synonymous 2010/05/07
    ふうん。
  • 酵母のプリオン良いプリオン - 蝉コロン

    科学以前、プリオンについてのエントリを書いたところ、「用語を正確に使って欲しい」という旨のコメントをいただいた。「プリオン」とはタンパク質性の感染因子で、何らかの原因で生じた異常型の"ホニャララ"タンパク質が正常型を次々と異常型へ転換していって増殖する。"ホニャララ"は何であっても構わない。「ウイルス」って言ったらそれがインフルエンザウイルスだったりHIVだったりするように。哺乳類の場合「プリオン」と言えば感染性を持つPrPSc、「プリオンタンパク質」ならば、PrPの正常型(細胞型)であるPrPCあるいは異常型のPrPScということになる。以前のエントリではあんまりこの辺を区別して書けていなかった。 さて、実は酵母(出芽酵母)にもプリオンがある。哺乳類PrPとは縁もゆかりもないタンパク質だけれども、プリオン様の振る舞いを示す。そのひとつがSup35というタンパク質*1。通常は翻訳終結因子と

    synonymous
    synonymous 2010/02/23
    「実はプリオンとは、凝集によってタンパク質の活性化・不活性化を制御するエレメントなんじゃないか。」
  • DNAも無しに進化するプリオン - 蝉コロン

    こないだウイルスも生物かもねーという話をしましたが(ウイルスに感染するウイルス - 蝉コロン)、そういえばウイルスに対して「進化する」と言っても特に違和感はないですね。学術論文レベルでかぎかっこ抜きで言っていいのかは知らないけれど。しかし、プリオン。ただのタンパク質であるプリオンは「進化する」なんてことがあるんでしょうか。 狂牛病とかで話に聞くプリオンですが、この病原体は単一のタンパク質そのもので、当然DNAとかRNAはありません。ところがアメリカのScripps研究所のチームが、プリオンが薬剤耐性を獲得し得ることを報告しました。Published Online December 31, 2009REPORTSDarwinian Evolution of Prions in Cell CultureJiali Li, Shawn Browning, Sukhvir P. Mahal, An

    synonymous
    synonymous 2010/02/18
    多様性の発現と維持
  • 新型インフルエンザにあんまりひどいめにあわずに済んだ理由 - 蝉コロン

    季節性インフルエンザ。毎年流行る、ヒトの免疫をくぐり抜けられる抗原性が変化したウイルスが選択され続ける。新型インフルエンザ。ブタからでてきたばっかりの新人。ヒトの免疫からの攻撃を初めて受ける。 ウイルスv.s.免疫機構は、ウイルス表面の抗原を認識できる抗体があるかないかの勝負になる。ウイルスは自分の情報を書き換え続け、免疫はウイルス情報をアップデートし続ける。 今回の新型インフルエンザはH1N1。これまでH1N1で流行したのはスペインかぜとソ連かぜ。スペインかぜは1918-1919年だが、ウイルス自体は1957年くらいまであった*1。今はもういない。ソ連型ウイルスは1977年に出現して現在まで季節性として流行。今でもいる。 H1N1についてヒト集団の持っている抗原情報は50年前のスペインかぜウイルスのと、30年前から現在まで繰り返しアップデートされているソ連型ウイルスの。ヒトは感染して免疫

    synonymous
    synonymous 2010/02/12
    後知恵ならいくらでも。でもそれはインテリジェンスに欠けるよね。やっぱり行政関係者は良くやったのだと思うよ。
  • 大事なところがもげる変ないきもの - 蝉コロン

    動物図書館で借りてきたに「バロロ」って書いてあったので、「バーローwww」と合わせてエントリにしようとして調べてたら当の名前は「パロロ palolo」だった。とんだ誤解だった。 パロロというゴカイの話。30cmくらいの長さで、水中だとスパゲッティのように見えるという。南太平洋サモアに生息している。こちら写真いろいろ:Palolo worm, Palola siciliensis, Pictures Photos Images Searches | SeaPics.com これもpalolo wormって書いてあるけどサモアじゃないので違う種類かも。 こんな姿。パロロは10月から11月初めにかけての間に一日だけ産卵の時期がある。このとき体の後ろ側のepitokeというやつがものすごい筋肉収縮の力で体から外れる。ついでにいっしょに消化管も失う。epitokeの中には精子とか卵が入ってる。わ

    synonymous
    synonymous 2010/02/12
    生殖は祭りである
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