歴史的ディス曲の応酬:ドレイクvs.ケンドリック・ラマー 今年、ドレイクとケンドリック・ラマーが、驚くべきスピードと熱量で一線を越えまくった歴史的なディス曲の応酬を繰り広げ、ヒップホップ界を大いに沸かせてきた。とりあえず落ちついたように見える昨今だが、ふたりのビーフを振り返りながら、ケンドリックがロサンゼルスで開催したイヴェント《The Pop Out: Ken & Friends》、今や社会現象と化した「Not Like Us」に焦点を当てて、その全体像を探ってみたい。 ビーフのタイムライン そもそもヒップホップの世界では、ラッパーが大袈裟に自分の自慢をするのはよくあることであり、その主張は往々にして軋轢(ビーフ)を生んできた。そしてビーフとは、ヒップホップ文化にとっての競技スポーツ、プロレスのようなエンターテイメントとしての側面を持ち、言葉遊びや比喩表現を武器に、ときにハッタリも含むラ