今日の「天声人語」。先の見えないフクシマの事態や、それでも原発を手放そうとしない電力会社や政治家や経団連の動きを報道しつつ、よくもこんなことが書けたものだ。 日本の新聞は「愛国的」で、海外の事件事故をトップ級で伝えることは少ない。先週末、それが珍しく続いた。ノルウェーの連続テロ、中国高速鉄道の衝突事故だ。一報に接した印象は前者は「まさか」、後者は「やっぱり」だった▼乱射と爆破で約80人を殺害した容疑者の男(32)は、イスラム教に敵意を燃やす極右だという。ゆがんだ憎悪は、移民に寛容な現政権に向けられた。平和が薫る国での暴発は不気味だ▼列車事故も悲惨だが、テロほどの意外性はない。ざっくり言えば、メンツで急いだ高速化のツケ。発展の順序を踏まない、国家による「スピード違反」である。雷神の気まぐれで脱線するような代物に、人民を乗せてはいけない▼半世紀で新幹線網を整えた日本に対し、中国はその4倍を数年