新人映画監督に贈られる日本映画製作者協会の新藤兼人賞。2016年の授賞式で、映画監督でもある俳優の津川雅彦(76)が乾杯のあいさつに立った。 「日本映画がすばらしいのは、安く作ってもいい作品ができることだ」 とほめた。一方で、こうぶちあげた。 「配給会社は利益を吸い取る。制作側がもうかるわけがない」 絶好調の日本映画だが、手放しで喜べないという関係者は多い。理由の一つが「配給会社だけがもうかる」現状だ。冒頭の式にも出席していたある映画関係者が打ち明ける。 「津川さんの指摘は正しい」 作品によって異なるが、日本では興行収入の5~6割を映画館が持っていき、あとは宣伝費に数億円、残りの3割程度が配給会社に入る。さらに残った分を製作委員会が分け合い、実際に手を動かした制作者の手元には、どんなにヒットしても最初に決めたギャラ以外入らないことが多い。 ●映画作りには多様性 「誰も知らな