明治から昭和にかけてオリンピックに関わった日本人の姿を描いた大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)は、そのスケールの大きさや斬新な映像表現において、テレビドラマ史上かつてない前人未到の大プロジェクトだ。 この度、リアルサウンド映画部は『いだてん』チーフ演出の井上剛にインタビュー。ドラマ史上かつてないこの巨大プロジェクトは、一体どのようにして生まれ、進められてきたのか? 膨大な取材のもとで紡ぎ出されたかつてない物語と、スポーツを見せるための斬新な映像表現を次々と産み出してきた『いだてん』制作の背後には、もう一つのオリンピックとでも言うような、果敢な挑戦の連続があった。(成馬零一) 緻密な取材によって生まれた物語 ――もうそろそろ、終わりが見えたという感じでしょうか? 井上剛(以下、井上):いえいえ。スケジュール的に終わりが見えているはずなんですけれど、仕掛けが多