2019年11月に『十三機兵防衛圏』というタイトルのレビューを依頼されてから、しばらくの時間が経った。そして今、この文章を書きあげるまでにリテイクした回数は1回や2回ではない。 リテイクの連鎖が始まったのは編集者の発言が契機となったが、その後は自分の書いた内容に納得できなかったという理由で、数回は書き直している。ひとことで表現するならば、実に「奇妙なゲーム」だと思う。 たしかにプレイ中は強い衝動や確信めいた思いを抱き、感情を動かされ、確実に言語化でき得る「何か」を掴んでいると思わせてくる。にも関わらず、プレイをやめた瞬間、その「何か」はキメの細かい砂粒のように変容する。懸命に「何か」を手中にとどめおこうとしても、ほんの小さな指の隙間から全て流れ落ちてしまう。 何度もプレイし、何度も同じことを思い、そして何度も次の瞬間に砂となり消えた。とにかく歯がゆい。経験を言語化することを仕事としている人
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