2012/10/229:0 “新型” 出生前診断をめぐって 粥川準二 ■ある妊婦の告白 筆者は、科学技術が社会的に受容(もしくは拒否)される過程とその含意について大学で講義している。その過程で毎年、出生前診断について解説するのだが、今年の前期はことのほか学生たちの反応がよかった。おそらくその日がちょうど、プロゴルファーの東尾理子が11月に出産する予定の子どもがダウン症である可能性があるとブログで告白し、それが報道されたとき――6月4日――であったからであろう。 報道や東尾自身のブログによれば、彼女は「クアトロテスト血液検査」を受け、出産予定の子どもがダウン症である確率が「82分の1」であると医師から告げられた。「羊水染色体分析」をすれば、ダウン症であるかどうかを確定できるのだが、彼女は夫の石田純一と相談した結果、それを受けないことを決めたという。このことはマスコミを通じておおむね美談として