ヨーロッパ史の識字学習の考え方は、基本「まず本を読めるようになってから書くことを学ぶ」そうです。これに対して日本では、読み書きを同時に学び始め、段階的に難しい文の読み書きに進む、という大きな相違があるそうです。ヨーロッパの識字に関する本では、基本的に自筆のサイン(自署)ができる人は既に読める人である、と考えられ、自署の可否で識字の可否を判断しているそうです(よって結婚証明書の署名が重要な史料とされる)。日本では、ひらがなでの自署は小学校1年生レベルであり、自署ができる程度で本が読めるとは考えません。このように、日本と欧州では、社会的な伝統に起因する学習の順番が違うため、「自署率」や「識字率」は同じ内容を表しているとは限らない点、大きな注意が必要なのだそうです。従って単純に自署の可否だけで日欧を比較すると、実態と異なる解釈違いに陥る可能性があることになるわけです。 このあたりの相違を細かく認