世界初「マグロの回遊」の本格展示に成功した東京都立葛西臨海水族園(江戸川区)で、飼育中のクロマグロやカツオが短期間に相次ぎ死んでいる。 原因ははっきりしておらず、昨年12月1日には165匹いたのに、今は13匹に激減。このままでは全滅する可能性も出てきた。25年間にわたりクロマグロの群れを飼育してきた同園に、一体何が起きているのか。 ◆寂しい水槽 「1989年の開園以来、短期間にこれほど死ぬのは初めてだ。今月中には水槽から魚がいなくなるかもしれない」。15日、魚が少なくがらんとしたドーナツ形の大型水槽(直径約30メートル)を前に、錦織(にしきおり)一臣副園長は顔を曇らせた。 大量死しているのは、この水槽で飼育しているクロマグロと、カツオの仲間のスマ、ハガツオの3種類の回遊魚だ。職員が異変に気づいたのは昨年12月上旬。カツオの餌の食いつきが悪くなり、水面に浮かんだり、沈んだりするようになった。