大震災による深刻なダメージを受けている日本経済であるが、それを取り巻く外的要因の1つである「資源高」の傾向は震災前と変わらず続いており、その影響についても無視したり、忘れてしまうわけにはいかない。資源高、すなわち資源価格の上昇は、原材料費の高騰につながるコストアップ要因である。そこで、ものの価格をその費用面から改めて考えてみることにしよう。 なお、今回の議論は、先回の議論を若干敷衍し、東日本大震災の発生を踏まえて補足したものである。 価格を費用面から見ると、生産物1単位あたりの(労働コスト+非労働コスト[原材料費等]+利潤)からなるとみなせる。このうちの(非労働コスト+利潤)の労働コストに対する比率をγと定義すると、価格=(1+γ)×単位労働コストだといえる。このγのことを一般に「マークアップ率」と呼んだりしている。 時間あたりの賃金をw、労働投入量(のべ時間)をL、生産量をYとすると、w
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