組み込み機器の大きな特徴として,派生品が多いという点が挙げられる。ユーザーのさまざまな要求に応えるために,多くのバリエーションを一つの製品系列に用意するのが現在では当たり前のようになっている。組み込みソフトウェア開発において,こうした状況に対応するための考え方が「ソフトウェア・プロダクトライン」である。 今回は,組み込み開発現場で最近脚光を浴びているソフトウェア・プロダクトラインについて紹介したい。 派生品を効率よく開発する 作る側からすると,単一の製品を多くのユーザーがそのまま使ってくれるとありがたい。スケールメリットは出るし,リソースを集中させることもできるので,コストの低減が図れる。開発部隊は一つの製品に注力すればよいので,品質の向上も望める。品質の良い,儲かる製品となり得る。 しかし現実は,作り手の論理では進まない。市場の要求は実に多様だ。誤解を恐れずに言うと,ユーザーは非常にわが