日本の映画やドラマでもっとも演じられた回数の多い実在人物というのは、いったい誰なのだろう。 真っ先に浮かんだのは大石良雄だが、はたしてどうなのか。 信長・秀吉・家康の3人も多そうだ。 しかし、幕末以前の人物は、肖像画などが残っている場合もあるが、実物がどんな顔だったのかは想像する以外、ない。文献や、それよりもおそらく後代の芝居や小説や、それこそドラマによって付加されていった人物像が混成されて、人となりのパブリックイメージが出来上がっているといっていい。 ときおり作品や演出家によって既存のイメージの逆をつくキャスティングがなされたりもするが、それが成功すれば、そのイメージもまた新たな◎◎像に加わっていく。そういういうフィードバックになっている。 前回で映画「日本のいちばん長い日」に少し触れた。実録のドラマなので、当然、登場人物はほとんどが実在人物だ。公開当時はまだ存命の人も何人かいた。 こう