ブックマーク / honz.jp (15)

  • 『闇の脳科学「完全な人間」をつくる』 その先駆者の栄光と悲劇、そして「脳操作」の現在と未来 - HONZ

    同性愛の「治療」を受ける男。娼婦を相手に性的興奮を得ることができれば成功だ。男の頭には電極が差し込まれており、後頭部から4のコードが隣の部屋まで延びている。その部屋では、研究者たちが電極から送られてくる計測値を見ながら、男の快楽中枢に適切な電気刺激を与える。 まるでSFだ。しかし、未来の話としてはおかしいと思われないだろうか。現在の状況を考えると、LGBTが治療対象となる未来などやってくるはずがなかろう。未来物語でもなければ架空のストーリーでもない。米国で実際におこなわれた人体実験なのである。 書『闇の脳科学 「完全な人間」をつくる』の冒頭シーンがこれだ。いったいどんな内容のなのか。意識せずとも期待感が広がっていく。まるで脳のどこかに電気刺激が与えられたかのように。 この実験をおこなったのは、精神科医ロバート・ガルブレイス・ヒース。統合失調症病などさまざまな精神疾患に対して、患者

    『闇の脳科学「完全な人間」をつくる』 その先駆者の栄光と悲劇、そして「脳操作」の現在と未来 - HONZ
    take1117
    take1117 2020/10/16
    すでにスマホが脳の外付けHDD状態なので…
  • 『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス いまからおよそ1万年前、人類は農業を発明した。農業が生まれると、人びとは必要な栄養を効率的に摂取できるようになり、移動性の狩猟採集生活から脱して、好適地に定住するようになった。そして、一部の集住地域では文明が興り、さらには、生産物の余剰を背景にして国家が形成された──。おそらくあなたもそんなストーリーを耳にし、学んだことがあるだろう。 しかし、かくも行き渡っているそのストーリーに対して、書は疑問符を突きつける。なるほど、初期の国家はいずれも農業を基盤とするものであった。だが、人類はなにも農業を手にしたから定住を始めたわけではない(後述)。また、メソポタミアで最初期の国家が誕生したのは、作物栽培と定住の開始から4000年以上も後のことである。それゆえ、「農業→定住→国家」と安直に結び

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ
    take1117
    take1117 2020/01/03
  • 物語はいかに、どれほどこの世界に影響を及ぼしているのか──『物語創世──聖書から<ハリー・ポッター>まで、文学の偉大なる力』 - HONZ

    物語はいかに、どれほどこの世界に影響を及ぼしているのか──『物語創世──聖書から<ハリー・ポッター>まで、文学の偉大なる力』 物語とは、いったいどれほどの力を持っているのか? ギルガメッシュ叙事詩や『イリアス』のように、時に偉大な物語は人々の文化の「基盤」となって、行動や思考に大きな影響を与えることがある。 基盤テキストとはなにか 書では、そのような世界に対して強い影響力を持つ物語のことを「基盤テキスト」と呼称している。その格好の一例は聖書だ。たとえば、アポロ計画二度目の有人宇宙飛行ミッションにあたるアポロ8号が、月の周回軌道を回っている時に、聖書の『初めに、神は天地を創造された』から始まる10節を、何十億もの地球の人々へ向けたメッセージとして読み上げた。 しかし、アポロ八号が教えてくれた最も大事なことは、聖書などの基盤テキスト(foundational text)がいかに強い影響力をも

    物語はいかに、どれほどこの世界に影響を及ぼしているのか──『物語創世──聖書から<ハリー・ポッター>まで、文学の偉大なる力』 - HONZ
  • 実録自伝!旧ソ連の女ゴルゴ13 ”最高の女性狙撃手 レーニン勲章を授与されたリュドミラの回想” - HONZ

    すごいだ。もしこれが小説なら、荒唐無稽と片付けられてしまうに違いない。ノンフィクションの醍醐味をこれほど味わえるはない。今年最高の1冊と断言しよう。 旧ソ連、ウクライナ生まれの女性狙撃手、リュドミラ・パヴリチェンコの自伝である。軍需工場で射撃の経験があったリュドミラは、ドイツ軍のソ連侵攻の翌日、狙撃兵としての入隊を志願する。軍における女性の仕事は衛生兵しかないとされていた中、パヴリチェンコは狙撃兵としての任務につくことになる。 経歴だけで、その能力が秀でていたかがわかる。第二次世界大戦の初期、わずか一年ほどの間に狙撃して死にいたらしめた「確認戦果」は309名。おそらく実数は500名にのぼり、うち36名は狙撃手だったともされている。この数がいかにすごいかは、まず狙撃手がどのようなものかを知らねばならない。使うのは機関銃ではなくてライフルでの一発勝負だ。 前進する敵戦線の将校をひとり排除し

    実録自伝!旧ソ連の女ゴルゴ13 ”最高の女性狙撃手 レーニン勲章を授与されたリュドミラの回想” - HONZ
    take1117
    take1117 2018/12/28
    ソ連軍を殺しまくった人の本が宣伝になってておもしろ
  • 『猫はこうして地球を征服した 人の脳からインターネット、生態系まで』 - HONZ

    究極のミスマッチなマッチング 「が地球を征服した?」……書のタイトルを見て、「うちの可愛いちゃん一族が、地球なんて征服できっこない!」とおおかたの読者は思われるのでは? でも、これは決して誇張ではない。一見、ひ弱で愛らしいたちが、いまや人の脳から、インターネット、各地の生態系まで席巻しつつあるのだ。 その制覇のきっかけは、まずは私たち人間の心を奪ったことだった。と人との関係は、究極のミスマッチなマッチングとも呼べるねじれたつながりにある。 人は社会性の高いコミュニケーション大好きな生きものだが、は単独行動を旨とする群れない生きものだ。 また、超肉動物であるネコ科は、もともと「殺すか、死ぬか」という激しい2択を生きており、かつては人類の祖先もネコ科にかなりべられたことが分かっている。 驚くべきことに、家のなかで寝てばかりいるようなちゃんたちでさえ、こうした野生を色濃く残して

    『猫はこうして地球を征服した 人の脳からインターネット、生態系まで』 - HONZ
    take1117
    take1117 2017/12/28
    句読点をつけて下さい
  • とてつもなく変態で、ありえないほど文章がうまい──『動物になって生きてみた』 - HONZ

    どうやったら、我々人間は動物の感覚にもっと近づくことができるのだろう。たとえばアナクマのように巣穴で眠り、森を徘徊して獲物を物色する。たとえばカワウソのように水辺に住んで魚やザリガニをべて生き、ツバメのように空を飛び、糞を撒き散らす。そうやって動物たちと同じように生きたら、彼らがみている世界を追体験できるのではないだろうか? そんな、言っていることはわからないでもないが自分でやろうとは思わないことをまともにやってしまった狂人が、書の著者であり、2016年のイグノーベル賞の生物学賞を受賞したチャールズ・フォスターである。狂人とは言い過ぎで、著者に対する敬意を欠いているのではないか? と思うかもしれないが、この記事を読み進めてもらえればその事実が把握いただけると思う。 人間とキツネなど他の動物たちとの間には境界があると著者はいう。それは当然だ。我々はキツネと子どもを作ることはできないし、カ

    とてつもなく変態で、ありえないほど文章がうまい──『動物になって生きてみた』 - HONZ
  • 『医師の感情』医師たちは現場で何を感じているのか - HONZ

    どんなときでも冷静で、感情的になることはけっしてない――医師に対してそうしたイメージを抱いている人は少なくないだろう。だがもちろん、彼らも人の子であり、そうしたイメージそのままであるわけがない。ふだんはどんなに冷静な医師であっても、ときとして強力な感情に圧倒されてしまうことがあるはずだ。それならば、医師は現場で実際にどんな感情を抱いているのか。そして、そうした感情は医療行為にどのような影響を与えているのか。書は、そんな問題に光を当てようとした、アメリカの現役医師によるルポルタージュである。 書はまず「共感」の話から始まる。ここでいう共感とは、「他人の視点でものを見て、感じることのできる能力」、あるいはもっと限定的には、「患者の苦痛を認識し、理解すること」である。よく言われるように、医師は患者に対して「同情」する必要はないかもしれない。しかし、よりよい診断と治療を行おうというのであれば、

    『医師の感情』医師たちは現場で何を感じているのか - HONZ
    take1117
    take1117 2016/07/25
    どの分野だって同じだと思うが…
  • 『この世界を知るための 人類と科学の400万年史』 - HONZ

    科学はどのように進歩するのか? 多くの人はおそらく次のようなイメージを持っていると思う。我々凡人からはかけ離れたすさまじい洞察力を持つ希代の大天才が、誰の助けも借りずにたった一人で自然界の秘密の一端を完璧な形で看破し、一瞬にして人類の知識を飛躍させる、と。さらに、科学研究は我々からは遠い世界で進められていて、我々とはまったく無縁の営みだと考えている人も多いだろう。もちろん、科学研究が生み出した製品や技術は、確かに我々の生活に役立っている。しかし、科学研究そのものは我々の日常生活とは無関係で、まるで宗教のように浮き世離れした崇高な営みだと感じている人がかなり多いのではないだろうか。 だがけっしてそんなことはない、と書は説く。科学はそもそも、太古から人類が持っていた、身の回りの世界のことを理解したいという能的欲求に端を発している。だから、科学的な探究をしたいという思いは、どんな人の心にも秘

    『この世界を知るための 人類と科学の400万年史』 - HONZ
  • ついに、ドラマ化!『ローマ法王に米を食べさせた男』 - HONZ

    かつてフランス皇帝ナポレオンは「余の辞書に不可能の文字はない」と豪語しましたが、書の著者・石川県羽咋市の職員・高野誠鮮さんは、「可能性の無視は、最大の悪策」がモットーです。 平均年収たった87万円、夢も希望も若者もなく、さびれるばかりの限界集落を救うために次々に大胆な行動を起こして、わずか5年で過疎の農村を生き返らせました。そんな高野さんの超人的な活躍ぶりに、お隣の富山県出身の落語家・立川志の輔さんは、リスペクトをこめてこう称えました。 ――スーパー公務員! 2002年のこと。ある出来事で上司の反感を買った高野さんは、異動で農林水産課に飛ばされます。腐ったそうです。そして傷心の思いで棚田が並ぶ山間部の神子原という村まで足を運んだときに、「農業は金にならない」「若者が減って村が消える」と嘆く老人たちを見て、愕然としました。 なんとかしなければ……高野さんは大きな衝動に突き動かされます。もち

    ついに、ドラマ化!『ローマ法王に米を食べさせた男』 - HONZ
    take1117
    take1117 2015/06/23
    今度は法王の料理人??
  • ”我は死なり 世界の破壊者なり”  『原子爆弾 1938~1950年』 - HONZ

    ”我は死なり 世界の破壊者なり” 『原子爆弾 1938~1950年』いかに物理学者たちは、世界を残虐と恐怖へ導いていったか? If politics is the art of the possible, research is surely the art of the soluble. 政治を可能性追求のアートとするならば、 研究は間違いなく問題解決を追求するアートである。 免疫学でノーベル賞を受賞したピーター・メダワー卿の言葉だ。このは、原子爆弾の開発において、この言葉が現実化した過程を描いたものである。 こんなは読んだことがない。あたりまえかもしれない。あるひとつのことをめぐって、これだけいろいろなことが錯綜した物語はほとんど存在しないのだから。核分裂現象の発見から、原子爆弾の開発、その使用、そして、冷戦下における抑止力。その巻、600ページを超え、登場人物のリストは250人を

    ”我は死なり 世界の破壊者なり”  『原子爆弾 1938~1950年』 - HONZ
    take1117
    take1117 2015/04/14
  • 『臓器移植の人類学』生死の境界線は変わっていくか - HONZ

    私たちの価値観はマクロな世論や制度設計、人々の具体的な実践や意識から影響を受け、知ってか知らずでか変化している。ひときわ新しい技術の導入は、私たちの価値観に不可逆な影響を与える。2つの異なる身体間での臓器の取引を可能にした臓器移植医療もその一つである。 著者は臓器移植医療における一番の当事者であるドナーとその家族、レシピエントから生の声を得ると同時に、歴史、理念、政治、制度、およびグローバルな秩序の生成を系譜学的に描き出して、俯瞰した視点から観察された個人の経験及び出来事を解釈していく。賛成・反対の立場をとるのではなく、臓器移植という主題に私たちが見ようとしてきたもの、そして見落としてきたものをできる限り広く収集し、深く突き詰めている。 脳死という言葉は、そもそも臓器移植をおこなうために生み出され、普及したというのが正しい 脳死が先だったのか、臓器移植医療の成立が先立ったのか、著者は複雑な

    『臓器移植の人類学』生死の境界線は変わっていくか - HONZ
    take1117
    take1117 2015/03/27
  • 次の世界を知るために『AIの衝撃 人工知能は人類の敵か』 - HONZ

    ディープラーニング、機械学習人工知能……正確な未来予測は無理でも、だいたいの方向性において人類は「技術的な進歩」を重ねてきたし、これからも重ねていくだろうということは予測できる。そしてその技術的な進歩が今後必ず起こるのがAI分野だ。書はそのAI分野の「過去」から「現在」そして「未来」までを見通してみせるきっちりとした仕上がりの良書だ。 特に昨今ではディープラーニングが話題になることも多く、この単語を耳や目にしたことがある人も多いのではないか。ディープラーニングについて、「人間の頭脳における神経回路網を再現したニューラルネットの一種で〜」といくらでも正しい説明はできるが、まあその辺の事は込み入って長くなってくるので詳しい説明は書に譲ろう。ごくごく簡単に、その最大の長所を抜き出してしまえば「情報の中から特徴を自ら発見できること」にある。以下、具体的にどのような事が出来るのかを紹介したい。

    次の世界を知るために『AIの衝撃 人工知能は人類の敵か』 - HONZ
    take1117
    take1117 2015/03/25
  • 犯罪者を特定する因子は存在するのか? 『暴力の解剖学 神経犯罪学への招待』 - HONZ

    HONZが送り出す期待の新メンバー・冬木 糸一。若干26歳にして恐るべき読書量を誇り、彼の個人ブログ「基読書」では注目のノンフィクションが続々と、HONZに先んじる形で取り上げられていった。こんな危険な輩を外で野放しにしておくわけにもいかないので秘密裏に交渉し、メンバー入りへと至った次第。今後の彼の活躍に、どうぞご期待ください!(HONZ編集部) 日のようにかなり平和な国であっても人は人を殺す。メディアは殺した人間をどのような人間であったのか、どのような趣味を持っていたのか、いかにも人を殺しそうな人間であったのか、はたまた普段は人当たりのよい人間だったのかと、盛んにそのパーソナリティに迫ってみせる。 そんな時、「どこにでもいる、あなたの隣にもいそうな人間が超凶悪な殺人犯でした! あなたも危ないかもしれません!」とただ危険を煽るだけだと問題でも生じるのだろうか、そこに何らかの特徴をつけて

    犯罪者を特定する因子は存在するのか? 『暴力の解剖学 神経犯罪学への招待』 - HONZ
    take1117
    take1117 2015/03/09
  • 『暴力の人類史』 人類史上もっとも平和な時代 - HONZ

    テロ、紛争、無差別殺人。世界は悲劇的なニュースで溢れている。人類は自らの手でその未来を閉ざしてしまうのではないか、と不安になる。ところが、著者スティーブン・ピンカーは大胆にもこう主張する。 長い歳月のあいだに人間の暴力は減少し、今日、私たちは人類が地上に出現して以来、最も平和な時代に暮らしているかもしれない にわかに信じがたいこの説を検証し、読者に確信させるためにピンカーは、人類の暴力の歴史を大量の統計データとともに振り返る。書が上下で1,300ページ超という並外れたボリュームで膨大な文献を引用しているのは、並外れた説の主張にはそれに見合った証拠を提出する必要があるからだ。しかし、ピンカーが「統計のない物語が盲目であるとするならば、物語のない統計は空疎である」と語るように、書はデータばかりが延々と続く退屈なものではない。持続的な暴力減少を示す圧倒的な事実の積み重ねとそのメカニズムに対す

    『暴力の人類史』 人類史上もっとも平和な時代 - HONZ
    take1117
    take1117 2015/02/12
  • 完全食品ソイレントが突きつけるもの - HONZ

    『ニューヨーカー』の2014年5月12日号に、「ソイレント」という液状品に関する記事が掲載されました。軽~く興味を引かれて読み始めたところ、ちょっと意外なぐらいに、われわれの「」について考えさせる内容になっていたので、ご紹介してみます。 液状のべ物というのは、昨今、それほど珍しいわけではありません。減量したい人のダイエット品にも、ドロドロした飲むタイプのものがありますし、筋肉増強したい人のためにも、タンパク質メインの飲み物はあります。しかしソイレントがそれらと異なる点のひとつは、完全品を謳っている点です。これだけを摂取していれば、ほかには何もべなくてもよいというのです。 ソイレントを考案したのは、ロブ・ラインハートという青年で、品関係というよりむしろ、ITとかSNS系の起業をやりそうな感じに見えます。実際、ラインハートは、ジョージア工科大学卒業後、友人二人とともにIT関係のス

    完全食品ソイレントが突きつけるもの - HONZ
    take1117
    take1117 2014/06/04
    そのうち食の2次的機能を求めることが贅沢と言われる時代が来るだろうね
  • 1