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ブックマーク / magazine-k.jp (13)

  • 出版業界は沈みゆく泥舟なのか

    まるで沈みゆく泥舟のようではないか、と思う。日の出版業界のことだ。 このコラムは毎月、基的に月初に公開することにしている。毎月更新される小田光雄氏の「出版状況クロニクル」や、ジュンク堂書店の福嶋聡氏の「屋とコンピュータ」といったコラムを意識しつつ書いているのだが、これまではできるだけポジティブな話題を見つけるようにしてきた。でも今月はどうしても筆が進まず、公開が週をまたいでしまった。いまだに何を書いてよいやら、という諦めのような境地にさえなっている。 「文字もの」電子書籍は未だに紙の4% そうした思いを抱いた理由の一つは、先月に相次いで公開された出版市場統計である。 まず、インプレス総合研究所から2017年の日電子書籍と電子雑誌の市場規模が発表された。同研究所の調査によると、昨年の電子書籍市場規模は前年比13.4%増の2241億円、電子雑誌市場規模は前年比4.3%増の315億円。

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    takeori 2018/08/06
  • 1円ライターから見た、キュレーションサイト「炎上」の現場(コグチスミカ) « マガジン航[kɔː]

    はじめまして。コグチスミカです。普段は別名義で、小説家、ライターとしてほそぼそと活動しています。現在、1歳児の子育てに奔走中の主婦です。 今回、どうしてもこの件について書かずにはおれず、だれかに知ってほしくて筆を取りました。 この記事を読んだ友人知人は、私がだれだか気づくかも知れませんが、どうか言及しないでいただきたいのです。あなたたちに正体がバレることはなんの問題もなく、むしろ喜ばしくすらあるのですが、クライアントにバレたら失職するかもしれないのです! キュレーションサイト「炎上」を生き延びたライターとして 2016年11月末、DeNAの運営する医療情報サイト「WELQ(ウェルク)」が、炎上し、公開停止しました。例えば「胃痛 原因」などのキーワードで検索すると、Google検索で必ず上位に表示されていた大手のサイトでした。ですが、その記事の内容は、私たちのような単価の低いライターによって

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    takeori 2016/12/09
  • 名物ラノベ編集者・三木一馬氏はなぜ独立したか

    現在、ラノベ=ライトノベルは国内の書籍市場においても大きなシェアを占めており、アニメ化・ゲーム化などのメディアミックスも盛んで、海外のファンからも支持を集めている。そんななかでKADOKAWAが擁する国内最大級のラノベレーベルが「電撃文庫」だ。その編集長を務めていた三木一馬氏がエージェント会社を立ち上げ、4月1日に独立した。その狙いやそこにある思いを独占インタビューで聞いた。 作品に寄り添って「媒体」を編集する 「正直管理職が向いていないなという感覚はずいぶん前からあったのですが(笑)、辞めたいという気持ちからの独立では全くないんです」と三木氏はいう。三木氏の今回の決断に大きな影響を与えた人物が三名いるそうだ。一人は、「マガジン航」の読者であれば注目している人物であろうコルクの佐渡島庸平氏。もう一人は、アニメプロデュース会社のジェンコから独立した、エッグファームの大澤信博氏。そして最後の一

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    takeori 2016/04/08
  • 電子書籍の「失われた◯◯年」に終止符を 〜続・「電書再販論」に思うこと

    これまでの経緯 こんにちは。この「マガジン航」で以前、電子書籍への再販制度導入について、書かせていただいたことがあります(リンク)。 その時は、再販導入を主張する鈴木藤男氏(NPO法人わたくし、つまりNobody副理事長)、落合早苗氏(hon.jp代表取締役)の主張を、主に経済学的な観点から、分析しました。 紙幅の関係で、「電書再販論」のもう一人の主張者である、高須次郎氏(日出版者協議会会長、緑風出版代表)の所論については、「後編」に回すことにしたのですが、その「後編」を書きあぐねているうちに時間がたってしまいました。すみません。 今回、「後編」として、「電書再販論」について、さらに詳しく書かせていただきます。 そもそも「再販制度」とは? はじめに、出版物の「再販制度」とは何かについて、ちょっと整理しておきます。 独占禁止法では、商品の生産者や供給者(この場合は出版社や取次)が販売者(こ

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    takeori 2015/10/05
  • 中国語繁体字の標準化にぶつかって

    今年の10月、私はサンフランシスコで行われるW3C主催のTPACというイベントとブック・イン・ブラウザ会議に参加するため、シリコンバレーに向かった。 太平洋を越えて台湾からアメリカ西海岸へ行くには、とても費用がかかる。数年前、私がまだ取材記者だった頃は、東京、香港、上海、サンフランシスコ、クパチーノなどで行われるIT企業主催のメディアツアーによく招待された。しかしいまや私は、収益の安定しないスタートアップ企業の経営者である。いちばん安い宿と航空券をみつけても10万台湾ドル(日円で約40万円)の出費となり、自分の事業になんら利益をもたらさないかもしれない旅行にとってはとても痛い。 そこで私は、9月に自分のブログに、この会議に参加しなければならない理由を書いた記事を投稿して資金援助を募り、ペイパルと銀行の口座を用意した。二週間もしないうちに、クラウドファンディングは成功した。 標準化の世界と

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    takeori 2015/05/21
  • EUが電子書籍のVAT軽減税率を認めないわけ

    3月5日、EU司法裁判所はフランスとルクセンブルクが電子書籍に適用していたVATの軽減税率をEU法違反と判決した(判決文[PDF]。下はこの判決を報じたニュース映像)。この2国は、電子書籍を紙のと同じ扱いとして、2012年からフランスは5.5%、ルクセンブルクは3%と軽い税率で販売することを許可していた。 他のEU加盟国は電子書籍を「電子的なサービス品目」として扱い、20%前後の税率を適用していたため、統一市場として不平等な競争の様相を呈していた。 EUの今回の判断は、「電子書籍は紙のとは違う」「加盟国はEUの税制を遵守し足並みを揃えなければならない」というメッセージを明確に発した。 © European Union, 2015 EUの付加価値税体系はどうなっているか この記事を書いている私はベルギーの首都、そして欧州の首都とも称されるブリュッセル在住である。ベルギーでは基税率は21

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    takeori 2015/03/12
  • アマゾンの出版エコシステムは完成に向かう

    今年もフランクフルトでのブックフェアが滞りなく終わったが、ヨーロッパでも書籍業界の人たちは出版社に対するアマゾンのやり方を支持するか、反対するかに二分されている印象だ。アメリカで起きているアシェットとのバトルに呼応するかのように、アマゾンがドイツでもボニエール社に対し、同じような措置を取ったことを受けて著者団体が結束して抗議声明を出すなど、攻防喧しい(詳細はこの記事あたりを参照)。 そしてブックフェア開幕当日に、アマゾンはドイツでも「キンドル・アンリミテッド(定額読み放題サービス)」を始めた(この記事も参照のこと)。書籍は定価販売で他国と比べても高く感じるドイツの書籍市場でどこまで加入者を確保できるかが注目される。 そして国ではアマゾンがスポンサーになる形で、似て非なる二つの新サービスが始まる。拙ブログでも言及したが、これはアマゾンが考える新しい出版エコシステムの一端と捉えていいだろう。

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    takeori 2014/10/17
  • 電子書籍時代の文学賞:星新一賞顛末記

    昨年、星新一賞という短編SFを対象とした文学賞が創設された。私は「KIT (Kid Is Toy)」という作品を応募し、入選したが、作品は公開されることなく、結局は自分でKindle Direct Publishingを使って出版をすることにした。 これはなかなか嬉し悲しい体験だった。嬉しいというのはもちろん、私の大好きな作家の一人である星新一の名を冠した賞を受賞したということ。グランプリ、準グランプリ、優秀賞といったより上位の賞もあったが、それでもこれまで長く小説を書いてきてはじめて獲得した賞だったので、喜びはひとしおだった。 入選はしたけれど 執筆中から、作品の出来栄えには満足していた。学生時代は同人誌などに精を出した私も、就職して結婚して子供が生まれ、なかなか昔のように小説を書く時間もない……というありがちな経緯を辿っていた。そこで与えられた「上限一万字の短編SF」という星新一賞の手

    電子書籍時代の文学賞:星新一賞顛末記
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    takeori 2014/08/31
  • 「日の丸プラットフォーム」の本質を見誤るな

    5月14日、KADOKAWAとDWANGOが経営統合を発表した。この合同発表会はニコニコ生放送にアーカイブされており、その概要も既報なので割愛するが、日経済新聞が「サブカルコンテンツをクールジャパンとして海外に発信」と報じたことに大きな違和感を覚えた(5月15日付「グーグルに挑む角川ドワンゴ連合 世界制覇の勝算 」)。クールジャパン推進会議の委員にも名を連ねた角川歴彦氏が、メディアに対して「日の丸プラットフォーム」を目指すと語ったことによる連想だと推測するが、正直ひどい誤解だと思う。 もちろん、そういった挑戦も今後取り組まれることの一端にはあるはずだが、今回の統合を「クールジャパンを発信」というキーワードで括ってしまっては質を大きく見誤ることになる。 この経営統合は、スマートフォンの普及に端を発した出版環境の激変に対する、出版「社」としての最適解だったと捉えるべきだ(社に括弧を付けてい

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    takeori 2014/05/20
  • 本を発見するための「出版ハッカソン」

    5月29日〜6月1日にニューヨークで米国書籍産業最大のコンベンション、「ブック・エキスポ・アメリカ(BEA)」が開かれ、国内外から出版関係者が大勢集った。規模は毎年縮小し、地味になっていく印象があるが、一方でこれからEブックの時代に対応すべく、出版業界の礎となっていくであろうIT起業家を育てていく新しい試みも行われている。 初の「出版ハッカソン(Publishing Hackathon)」もその一つだ。ハッカソンとは、物事をやりやすくする「ハッキング」と「マラソン」をかけた造語で、かけ声の下に集まった有志のプログラマーエンジニアたちに、既存の業界がスポンサーとなって、起業をめざしてその場でサービスを実際に立ち上げてもらおう、という実験だ。 元々ニューヨークという街はウォールストリートに象徴されるように金融界の中心地で、住宅ローンのバブルがはじけた2008年のリーマン・ショックまでは、株ト

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    takeori 2013/06/08
  • 台湾がOPDSでやろうとしていること

    台湾の経済部工業局が進める智慧生活應用推動計畫(知的生活応用推進プロジェクト)は、ICT技術の活用による市民の知的生活レベルの向上を目的とした、2010年7月から2013年12月までのプロジェクトである。台湾の行政府である行政院が推し進める電子出版産業発展5カ年計画(2009〜2013)(*1)下で経済部工業局が担当する子計画も、このプロジェクトの中で実行されているようだ。 *1 數位出版產業發展策略與行動計畫(電子出版産業発展策略及び行動計画)のこと。この計画については以下のエントリを参照のこと。 ・台湾の「數位出版產業發展策略與行動計畫(電子出版産業発展策略及び行動計画)」(2010年9月18日) ▲智慧生活應用推動計畫のサイトでは電子書籍などの取り組みが動画で紹介されている。 台湾はプラットフォームの枠を超えた電子書籍の流通を促すため、特定の企業の技術や特許に縛られないオープンスタン

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    takeori 2012/09/20
  • アマゾン主導のEブック革命は何をもたらすか

    今週のニューヨーカー誌にケン・オーレッタが書いていたビッグ5&アップルEブック価格談合裁判についての記事を読んで、私は米出版業界でアマゾンに牽引されて粛々と進行しているEブック革命が、根的に何をもたらすのかという漠然とした考えに、かなりハッキリした輪郭が加えられ、戦慄した。それはちょうど今日でも、取りざたされている出版社の著作隣接権や出版物原版権にも絡む話だと思うので、ない頭をひねって記してみる。 少し最初に説明すると、ケン・オーレッタは日ではおそらく『グーグル秘録〜完全なる破壊』(文藝春秋)や『巨大メディアの攻防—アメリカTV界に何が起きているか』(新潮社)の著者として知られているノンフィクションライター/ジャーナリストで、日で言えば、『誰が「」を殺すのか』を書いた佐野眞一にきわめて近い立ち位置の人物だと理解してもらっていいだろう。 彼はニューヨーカー誌にたびたび出版業界をめぐ

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    takeori 2012/06/27
  • 電子出版はみんなのものだ、そう誰かが叫ぶべき

    電子出版の可能性が市場面から注目を集めている。経済的な成長性だ。しかし、一方で、コンテンツ創出という産業の主役が誰になっていくのかを考えねばならない。電子出版はある意味、産業構造の転換をもたらす大きなうねりを胚胎している。 米国でのebook端末の売上は着実に向上し、こうした読書専用端末(kindleとかnookとか)でを読む人口は読書人口の25%にも達している(BISG調べ)。昨年末20%だったことを考えると、急激な伸長を示していると云えるだろう。 だから既存の出版産業は穏やかでいられない。構造転換が生じたら既得権益は無に帰す。あれほど電子を毛嫌いしてきた出版社がこぞってデジタル化に走り、読書が紙からebook端末へとシフトしていく中にあって、ビジネスの我田引水を大騒ぎしている。既存の出版業界である印刷会社、出版社が、端末メーカー、配信事業者と野合してことを進めようと画策しているのだ。

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    takeori 2012/06/27
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