半導体の研究者と話をする機会があった。以下先生に聞いた話を記録しておく。 産業のコメともいわれる半導体。その物性の研究において日本は世界のトップを走ってきた。しかし、こうした分野はあと10年もしないうちに、中国やインドに追い抜かされるだろうということだ。次第に国内では人気も無くなり、若い人材も集まらなくなってきた。だがこれはかつて日本がアメリカを追い越したのと同じ歴史的必然で、避けるのは難しいという。 一生懸命作った芸術品ともいえる集積回路でもあっという間にコストが下がり、100円もしなくなってしまう。「賽の河原の石積み」ともいえるようなこの作業に進んで若者(ただでさえ少子化で希少価値の上がっている)が入ろうとするはずがない。しかも真面目に地道に生きても、こうした技術者が40代半ばになればリストラに遭うという過酷な現実も90年代後半に見てしまった。 そして、この技術者軽視の風潮は、日本の