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ブックマーク / xtech.nikkei.com (83)

  • 日本通運・アクセンチュアのシステム開発訴訟、裁判資料を読んで胃がキリキリした

    物流大手の日通運が「新・国際航空貨物基幹システム」の開発失敗を巡り、ベンダーのアクセンチュアを訴えた裁判。名門企業同士の訴訟、さらには約124億9100万円という賠償請求額の大きさは衝撃的だった。 裁判資料を読んでいると胃がキリキリした。筆者は2年ほど前までシステムエンジニアとして働いていた。その分、記されていた当事者の発言やチャットが、あまりにも生々しく映った。 訴状によると、開発プロジェクトはテスト工程から遅延し始めた。当初2020年12月の予定だった結合テストの後半過程「ITb」の終了は2021年11月にずれ込んだ。アクセンチュアがITbの「成果物」を共有サーバーにアップロードしたのは2021年11月30日。しかし、日通運は先立って実施していた「打鍵テスト」で大量の指摘事項が挙がっていたことなどから、この品質を問題視した。以降、これら成果物の検収を巡り、両者の主張は至るところで対

    日本通運・アクセンチュアのシステム開発訴訟、裁判資料を読んで胃がキリキリした
  • 日本通運のシステム開発訴訟、指摘多数の原因は「特殊な検収」とアクセンチュアは反論

    物流大手の日通運が、航空輸送事業におけるグローバル共通基盤の構築を目的に進めていた「新・国際航空貨物基幹システム」の開発失敗を巡り、開発ベンダーであるアクセンチュアを訴えていたことが日経クロステックの取材で分かった。以下ではアクセンチュアが提出した第1準備書面を基に、日通運の主張に対する同社の反論を読み解く。 アクセンチュアが最重要争点として挙げるのは、結合テストの後半フェーズ「ITb」に関する債務の履行を完了したことだ。日通運は訴状で「アプリケーション開発業務」など4件の個別契約が債務不履行になった結果、システムは完成せず基契約書で締結した「システムの完成義務」に違反すると主張していた。 アクセンチュアは請負で締結された上記4件の個別契約について、債務を履行していると反論する。同社の主張によれば、請負契約において求められるのは「仕事の完成」だ。検収は「仕事の完成」とは独立した手続

    日本通運のシステム開発訴訟、指摘多数の原因は「特殊な検収」とアクセンチュアは反論
  • 日本通運が基幹システムの開発失敗を巡ってアクセンチュアを提訴、124億円の賠償請求

    物流大手の日通運が基幹システムの開発失敗を巡り、約124億9100万円の損害賠償を求めて開発ベンダーのアクセンチュアを訴えていたことが日経クロステックの取材で分かった。 日通運の親会社であるNIPPON EXPRESSホールディングスは2023年1月、基幹システムの開発が当初計画に比べてさらなる開発コストの増加と開発期間の延長が見込まれることなどから、システム開発の断念を決定したと発表。2022年12月期の連結決算で154億円の減損損失を計上した。その後、日通運は2023年7月12日、アクセンチュアを相手取って東京地方裁判所に提訴していた。 計5回の検査で大量の「不具合」 訴状によると、日通運は航空輸送事業におけるグローバル共通基盤の構築を目的に、国内外のシステムを統一した「新・国際航空貨物基幹システム」を開発することとした。開発プロジェクトの開始は2017年4月25日。当初は3年

    日本通運が基幹システムの開発失敗を巡ってアクセンチュアを提訴、124億円の賠償請求
  • 労働力不足の中で持続可能な物流を実現する「フィジカルインターネット」とは

    「フィジカルインターネット」とは、インターネットの考え方を適用した新しい物流モデルのこと。輸送の途中にハブを設け、貨物規格を統一し、物流事業者間で物流資産を共有して荷物のやりとりをするのが基的な考え方だ。インターネット通信ではデータをパケットに分割し、パケット交換のプロトコルを定めて回線を共有する「パケット通信」が行われている。物流の世界に、このパケット通信の考えを適用する。 2010年から2011年にかけて欧米の研究者が発表した。物流の効率化と、それによるドライバーの人手不足解消、労働生産性の向上による賃金の増加、輸送時に排出される温暖化ガスの削減などが期待される。日では経済産業省と国土交通省が主導する「フィジカルインターネット実現会議」で、2040 年までの実現に向けてロードマップが策定されている。政府レベルで策定されたものとしては世界初の試みだ。 フィジカルインターネット実現のた

    労働力不足の中で持続可能な物流を実現する「フィジカルインターネット」とは
  • リアル過ぎる「耐水害住宅」の実大実験、濁流直撃でも床上浸水せず

    堤防決壊の直後、勢いよく水流が押し寄せた。試験体は一条工務店が開発した「耐水害住宅」(写真:池谷 和浩) 真っ黒な濁流が住宅正面に押し寄せ、玄関ドアや掃き出し窓へ一気に水が迫った――。国土交通省北海道開発局、土木研究所寒地土木研究所、建築研究所の3者が実施主体となり、日住宅・木材技術センターと住宅会社の一条工務店(東京・江東)が参画して行われた実大実験の模様だ。予算の一部は林野庁が補助した。 実験が行われたのは、北海道開発局が所管する実験施設「十勝川千代田実験水路」(北海道幕別町)。北海道中東部を流れる十勝川の河川区域内に位置し、主に土木技術の検証に用いられてきた施設だ。 今回の実験は、土木の領域と建築の領域の実証実験を同時に行ったもの。上流側では、堤防を模した試験体の天端を越流させ、 最終的に破堤させる「決壊実験」を実施。その下流約70mに戸建て住宅を模した試験体を配置して、浸水深1m

    リアル過ぎる「耐水害住宅」の実大実験、濁流直撃でも床上浸水せず
  • グリコもユニ・チャームも苦渋、トラブル相次ぐERP導入に潜む大きな理解不足

    ERP(統合基幹業務システム)の導入に失敗した挙げ句、ビジネスが止まる――。ERPにまつわるシステム障害が相次ぎ発生している。江崎グリコは独SAPのERP「S/4HANA」を使って構築した基幹系システムの障害で、プッチンプリンなどチルド品の出荷停止に追い込まれた。ユニ・チャームもS/4HANAと物流システムの連係を巡る障害で、製品の出荷に遅延が生じた。 なぜERPの導入はうまくいかないのだろうか。イチからシステムを構築するわけではなく、形のあるパッケージソフトを導入するにもかかわらず、だ。 江崎グリコは2024年4月3日に実施した基幹系システムの切り替えでトラブルが発生し、「プッチンプリン」をはじめとする同社製品と、同社が物流・販売を請け負っていた他社チルド品の出荷ができなくなった SAPや米Oracle(オラクル)など大企業向けのERPパッケージを中心に、導入に失敗することは今に始まっ

    グリコもユニ・チャームも苦渋、トラブル相次ぐERP導入に潜む大きな理解不足
  • 河野大臣「自治体ネットワークの三層分離やめる」、ゼロトラストアーキテクチャー導入

    河野太郎デジタル相は2024年5月31日、デジタル庁主催の記者会見で、自治体ネットワークの整備に関し今後の方針を明らかにした。会見の中で河野大臣は、自治体がネットワークのサイバーセキュリティー対策として運用してきた「三層の対策(三層分離)」をやめると述べた。 三層の対策とは自治体のネットワークを「マイナンバー利用事務系」「LGWAN接続系」「インターネット接続系」と業務に応じて大きく3つに分け、ネットワークごとに扱う情報や外部への接続環境を管理するもの。2015年の日年金機構による情報漏洩事故以降、自治体は総務省が定めた同対策に従いセキュリティー対策を打ってきた。 だが、ネットワークごとに使う端末を切り替える手間がかかる、端末間でデータを移動させるためにUSBメモリーを使うことで逆にセキュリティーリスクが高まるといった課題があった。河野大臣は会見の中で「1人1台のパソコンで効率的に業務が

    河野大臣「自治体ネットワークの三層分離やめる」、ゼロトラストアーキテクチャー導入
  • ユニ・チャームで紙おむつなどの納品遅れ、基幹システム更新に伴う不具合

    ユニ・チャームは2024年5月27日、基幹システムの更新に伴って取扱製品の納品遅れが発生していることを日経クロステックの取材に対し認めた。システムの更新は2024年のゴールデンウイークを利用して実施した。 同社によると、新基幹システムと物流システムの接続でデータ連係に不具合があったという。さらに、連休明けに大量の注文があったことによるデータの増加が重なり処理が間に合わなくなり、納品遅れにつながった。 紙おむつなどの支援事業を行う品川区や厚木市は、ユニ・チャーム製の紙おむつの入荷遅れに伴い、利用者からの同社製品の受け付けを停止したり、他社製品への変更を打診したりしている。品川区見守りおむつ定期便事業に携わるTNCプロジェクトの担当者は「5月15日ごろに仕入れ事業者から連絡があった。早めに調整したため、現時点では大きな混乱はない」と状況を話した。 ユニ・チャーム上席執行役員の上田健次ESG

    ユニ・チャームで紙おむつなどの納品遅れ、基幹システム更新に伴う不具合
  • 「S/4HANA」への切り替えでトラブルの江崎グリコ、1カ月経過も商品の出荷停止続く

    「プッチンプリン」をはじめとする江崎グリコのチルド品が店頭から姿を消した。2024年4月3日に実施した基幹システムの切り替えでトラブルが発生。同社が物流・販売を請け負っていた他社製品を含め、一部商品を出荷できなくなった。同月18日に出荷を一部再開したものの、トラブルは終息せずに再び出荷を停止。システム障害の影響で、当初業績予想より売上高を200億円程度押し下げるとみる。 「スーパーにもコンビニにも『プッチンプリン』が見当たらない」「『カフェオーレ』を長年愛して飲んでいるが、どこの店舗も販売休止中だ」――。2024年4月中旬、X(旧Twitter)で、このような投稿が相次いだ。 江崎グリコの看板商品が店頭から姿を消した理由は、システムトラブルによるものである。同社は2024年4月3日、基幹システムの切り替えを実施した。旧システムを独SAPのERP(統合基幹業務システム)パッケージ「SAP

    「S/4HANA」への切り替えでトラブルの江崎グリコ、1カ月経過も商品の出荷停止続く
  • 運転免許センターで同時発生した「うるう年」の不具合、和暦設定が引き金に

    2024年の2月29日、新潟県警察・神奈川県警察・岡山県警察・愛媛県警察が運営する運転免許センターでシステム障害が発生し、運転免許証の更新や新規取得の手続きを中止した。うるう年による障害だ。 4県警への取材で、障害によって当日運転免許センターで免許証を受け取れなかったとみられる人は合計で約800人に上ることが分かった。しかし、影響はさらに大きい。神奈川県警では運転免許センターの最寄りである相模鉄道の二俣川駅に、免許証を当日交付できないと掲示した。同県警は掲示によって約100人が運転免許センターを訪れなかったと見積もっている。一連の障害はテレビニュースで大きく取り上げられ、X(旧Twitter)などのSNSでも周知が進んだため、影響は1000人規模になるだろう。 4県警は、運転免許センターの障害原因について、「免許証を作成する機器の不具合」だと回答した。さらに取材を進めていくと、いずれの運転

    運転免許センターで同時発生した「うるう年」の不具合、和暦設定が引き金に
    takutakuma
    takutakuma 2024/04/12
    和暦と西暦を混ぜるの危険。
  • コカ・コーラも設立、アクセンチュア出資の新型IT子会社が続々

    「自動販売機から取得できる膨大なデータを分析し、その結果を基に効率的な業務オペレーションを実現したい。親会社の販売機会の拡大に貢献していく」。 コカ・コーラボトラーズジャパンの子会社でシェアードサービス機能を担うネオアークの昆聡社長は、自社の将来像についてこう語る。ネオアークはコカ・コーラ ボトラーズジャパンとアクセンチュアの共同出資会社だ。コカ・コーラボトラーズジャパンが81%、アクセンチュアが19%を出資して2024年1月に発足した。 ネオアークの母体は、グループのシェアードサービス会社であるコカ・コーラ ボトラーズジャパンビジネスサービスだ。同社とコカ・コーラ ボトラーズジャパン体にあった人事・総務、財務、調達、コンタクトセンター、営業支援業務、ITなどの機能の一部を集約した。 ネオアークに所属するメンバーは既に、アクセンチュアと共同で事務処理などの業務プロセスの改革に着手し始めて

    コカ・コーラも設立、アクセンチュア出資の新型IT子会社が続々
  • 伊藤忠食品が富士通汎用機からの脱却を目指す、300万ステップのCOBOLをJavaに

    「今後、COBOL技術者の減少は明らかだ。このタイミングで刷新できなければ機会を逸してしまう」。こう話すのは、伊藤忠品の波元英夫情報システム部長だ。酒類・品卸売業などを手掛ける同社は富士通製汎用機の撤廃を目指し、汎用機で稼働しているCOBOLアプリケーションをJavaなどに刷新中だ。 汎用機では、主に会計・営業・物流といったシステムが稼働している。伊藤忠品は、刷新プロジェクトの第1弾として、2023年8月に会計システムのマイグレーションを完了した。2026年春に残りのシステムを更新し、汎用機の撤廃を狙う。 機能変更が少ない会計システムから移行 伊藤忠品に汎用機が導入されたのは1969年5月に遡る。以後、社内の技術者が中心となって更改や改修を重ねてきた。しかしCOBOL技術者の減少により改修・運用が困難になることや、運用コストが高いことなどから「2012年あたりから脱COBOL

    伊藤忠食品が富士通汎用機からの脱却を目指す、300万ステップのCOBOLをJavaに
    takutakuma
    takutakuma 2024/01/31
    COBOL のコードをそのまま Java にするとパフォーマンスとかで残念なことになったりもするので、会計の逐次処理とか怖い。
  • 「Raspberry Pi Pico」向けのJavaScriptランタイム、Kalumaを使ってみた

    マイコンボード「Raspberry Pi Pico」の公式のプログラミング言語といえばPythonかCまたはC++だ。この3つの言語に加え、Raspberry Pi PicoでJavaScriptを使えるようにする「Kaluma」というプロジェクトがあるのをご存じだろうか。 筆者はWeb開発者でもあるため、PythonやC、C++よりJavaScriptのほうが圧倒的に得意だ。JavaScriptでマイコンを制御できるという話にはすぐに飛びついてしまう。いろいろとKalumaを触ってみたので、今回はKalumaの使い方について紹介しよう。 Kalumaの概要 Kalumaとは、Raspberry Pi Picoに搭載するマイコン「RP2040」向けに作られたJavaScriptのランタイムだ。マイコン向けのJavaScriptランタイム「JerryScript」をベースに、RP2040向け

    「Raspberry Pi Pico」向けのJavaScriptランタイム、Kalumaを使ってみた
  • なぜバッチ処理が得意なのか、純国産の次世代高速RDB「Tsurugi」

    オープンソースの高速な国産リレーショナルデータベース「Tsurugi」が登場した。Tsurugiの特徴やアーキテクチャ、導入方法などを解説する。 来歴 Tsurugi1は、国のバックアップ2を受けて作られた、純国産のOSS-RDBです。もともと有志の勉強会から始まったコミュニティ活動がベースで、各民間企業(ノーチラス・テクノロジーズ/NEC)、大学(東京工業大学/慶応大学/名古屋大学/大阪大学)、研究機関(国立天文台)などが主体となり、さまざまな企業・関係者の協力のもとに開発された、次世代高性能RDBです。OSSなので、だれでも自由に利用できます。商用サポートも提供されています。 2 なお、国によるバックアップは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるもので、「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発/次世代コンピューティング技

    なぜバッチ処理が得意なのか、純国産の次世代高速RDB「Tsurugi」
  • 全銀システムで中継コンピューターのチェック機能に不具合、40万件が処理できず

    全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は2023年10月10日、午前8時30分ごろから発生しているシステム障害についてオンライン説明会を開催した。銀行間送金を担う「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」で発生した不具合の概要と、対応策について説明した。 全銀ネットによれば、今回の障害はおおむね6年おきに実施している中継コンピューター(RC)のシステム更改に伴って発生した。「更改した中継コンピューターには内国為替制度運営費(旧銀行間手数料)の設定などをチェックする機能が備わっており、この機能に不具合が生じた」(全銀ネット)。内国為替制度運営費とは、送金元の金融機関から送金先の金融機関に対して支払う費用のことだ。 RCの更改は14の金融機関で実施したが、そのうち不具合は三菱UFJ銀行やりそな銀行など11機関で発生した。一部の金融機関で不具合が起きなかった理由について、全銀ネットは「設

    全銀システムで中継コンピューターのチェック機能に不具合、40万件が処理できず
  • 全銀システム障害は11日朝時点で復旧のめど立たず、プログラム改修でもエラー継続

    全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は2023年10月11日、前日に発生した銀行間送金を担う「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」の不具合が午前7時時点でも解消のめどが立たないと明らかにした。午前8時30分に、平日朝から夕方までの取引を処理する「コアタイムシステム」に切り替わってからも、三菱UFJ銀行など11金融機関で他行宛ての振り込みが通常よりも遅れる可能性がある。 全銀ネットによると、10月10日夜から11日早朝にかけて、システム障害の原因になったとみられる中継コンピューター(RC)の内国為替制度運営費(旧銀行間手数料)のチェック機能に関するプログラムの改修を急いだ。しかし、「改修プログラムをテスト環境で試したところ、エラーが継続した」(全銀ネット)としている。

    全銀システム障害は11日朝時点で復旧のめど立たず、プログラム改修でもエラー継続
  • 次期全銀システムに影響か、1973年の稼働以来初の大規模システム障害

    全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は2023年10月10日午前、銀行間送金を担う「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」で他行宛ての振り込みができないトラブルが発生したと発表した。計画停止を除き、全銀システムで顧客に影響が出るシステム障害が発生したのは、1973年の稼働以来、初めて。2027年の稼働を見込む次期全銀システムの開発にも影響を与えそうだ。

    次期全銀システムに影響か、1973年の稼働以来初の大規模システム障害
  • 日本における「名寄せ」と「照合」の黒歴史

    健康保険証、銀行口座、年金記録――個人のマイナンバーに別人の情報がひも付けられるトラブルが後を絶たない。多くの事案に共通するのは、自治体や関係機関の職員が氏名や生年月日などを基にマイナンバーや住民データを照会した際に、誤って同姓同名の人の情報を引き出してひも付けてしまうというケースだ。 こうした情報のひも付けをする際、職員が住民データの照合や突合、人確認に使うのが「氏名」「生年月日」「性別」「住所」、いわゆる基4情報といわれるものだ。 だがこの4情報は、コンピューターによる自動処理とは絶望的に相性が悪い。例えば氏名は「邊」「邉」など旧字・異体字の揺らぎや外字の処理が煩雑なうえ、婚姻による改名もある。よくある氏名の場合、氏名も生年月日も同一というケースが頻発する。住所は時期によって変わるうえ、人によって書き方が「一丁目四番」から「1―4」まで一意ではない。 こうした曖昧な識別符号を代替す

    日本における「名寄せ」と「照合」の黒歴史
  • 35年以降、エンジン搭載車を容認へ

    欧州連合(EU)が、2035年以降は内燃機関(エンジン)車の新車販売をすべて禁じるという方針を撤回した。温暖化ガス排出をゼロとみなす合成燃料(e-fuel)を利用する場合に限り販売を認める。欧州勢の真意はどこにあるのか。詳細を運輸部門全体の側面から、また技術的課題から紐解(ひもと)いてみたい。e-fuelという次世代燃料を使いこなすための、エンジン側の開発ポイントも解説する。 2023年3月28日、1カ月近く延期された欧州(閣僚)理事会は、乗用車および小型商用車の二酸化炭素(CO2)排出基準改正法案を正式に採択した。2021年7月に欧州委員会(EC)が提案した欧州グリーンディールの包括的な法案「Fit for 55 Package」の中の1法案である。最終的な法案成立となる。 「2035年以降の欧州連合(EU)内における全ての新車販売を原則CO2排出ゼロ車とする」というもので、ほぼもともと

    35年以降、エンジン搭載車を容認へ
  • なぜ富士通Japanだけが責められる? コンビニ誤交付トラブルで気になる責任の所在

    富士通Japan製コンビニ交付システムを巡る誤発行トラブルが後を絶たない。2023年3月に横浜市で他人の住民票が誤発行されるトラブルが発生したのを皮切りに、東京都足立区や川崎市、徳島市、新潟市、さいたま市、熊市などでも同様のトラブルが続々と明らかになっていく――。 事態を重く見たデジタル庁は同年5月8日、コンビニ交付システムを一時停止した上で不具合を検査する「総点検」を富士通Japanに要請。同社は要請に応える形で、6月17日までに全国の自治体123団体の点検を完了させた。ただ点検完了後まもない同月28日には新たに福岡県宗像市で住民票の誤交付トラブルが発生しており、事態が収束したとは言い難い。 自治体側の責任は? 不具合が相次いでいることからも、富士通Japan製システムに設計上の問題があるのは明らかである。一部の専門家からはその設計について「稚拙」という指摘も出ている。 ただ、富士通J

    なぜ富士通Japanだけが責められる? コンビニ誤交付トラブルで気になる責任の所在