開門派も、反対派も、どちらもが驚く判決だった。国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の潮受け堤防排水門の開門を巡る訴訟で、長崎地裁は、漁業者の一部の損害賠償を認めたが、開門は認めなかった。県内の漁業者は、一様に「お金はいらない。開門さえしてくれればいい」と口をそろえた。 原告は5年の常時開門を命じた福岡高裁の確定判決よりも、潮受け堤防近くで操業する人たち。原告副団長のタイラギ漁師、平方宣清さん(58)=太良町=は勝訴を信じていた。だが、思わぬ結果に判決後、傍聴席の椅子から立ち上がれなかった。周囲の支援者に「棄却です」と話し、「釈然としない判決ですね」とつぶやいた。 判決後の集会で、弁護団は「今回の不当判決で国の開門義務は消え去るものではない」との声明を出した。 県内の漁業者は、複雑な心境だった。太良町大浦で漁船漁業を営む大鋸(おお・が)幸弘さん(54)はコノシロ漁をしており、損害賠償が認