欧州のユーロ危機対応が佳境を迎えている。ギリシャの無秩序なデフォルト(債務不履行)を回避するための、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)による1300億ユーロ(約14兆円)の第2次支援策が合意に達したことなどにより、金融市場は落ち着きを取り戻しつつあるかに見える。 だが、仮にギリシャがデフォルトを回避できたとしても、今回の危機は、これまでユーロ導入よる経済成長が覆い隠してきた、欧州統合の暗い側面を浮き彫りにした。それは、ギリシャなど欧州周辺国の一部の国民が抱く、「ドイツに食い物にされた」という不信感だ。 EUが進める欧州の統合・拡大戦略には、分かりやすく言えば2つの側面がある。何世紀にも渡って戦争に明け暮れた欧州に平和をもたらそうという政治的な側面と、巨大な単一市場を創造し持続的な成長を可能にしようという経済的な側面である。 確かに、リーマンショックが起きるまでは、ドイツなど欧州の中心
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