2012年4月14日 田中 宇 3月末、インドのニューデリーでBRICSの4回目の年次サミットが開かれ、最終日の3月29日に「デリー宣言」を発表した。BRICSは中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカの5つの新興大国で構成され、5カ国で人類の4割を占め、国際社会で世界の途上諸国の代表として振る舞うことが多くなっている。 米欧日のマスコミは、BRICSサミットを大きく報じなかった。だが、サミットで表明されたデリー宣言は、国際政治の体制を、従来の米国(米欧)主導からBRICS主導へと転換する流れを描いている。この転換は、BRICSが米国から覇権を奪う動きでない。米国の覇権が弱まる中、世界の混乱を避けるため、BRICSが米欧に代わって集団で覇権の運営する動きだ。BRICSは今回のサミットで、米国の覇権が縮小した後の世界に向けた準備を具体化した。BRICSは、覇権という舞台で次の幕の登場を準備