ブックマーク / note.com/qzqrnl (16)

  • 不動のものを、愛すること|最所あさみ

    早朝の日を受けて輝く水面と、刺すような冷たい北風に揺れる木立。 何年も何十年も、下手すれば百年単位でずっとそこにある景色を見ていたとき、ふと人が自然にアイデンティティを感じる意味がわかった気がした。 山生まれの人は山を、海育ちの人は海を、平野育ちの人は野原を。 『地元』という言葉を想起する際に浮かぶものは、なぜか自然の一部であることが多い。 かくいう私も、有名な一級河川に抱かれて育った平野の子なので、世界のどこに行っても大河を見るときが一番心安らぐ瞬間だ。 激しく流れゆく渓流でもなく、終わりの見えない海でもなく。 流れが見えないほどゆっくりと、でも確実に運ばれゆく大河の姿は、私の心の拠り所だ。 あっというまに変わりゆく世の中で、唯一変わらないもの。 今、レジャーやスポーツの一環として自然が愛されるのはきっと、それが不動のものだからなのだと思う。 私たちは表向きには自由を求めながら、実は無意

    不動のものを、愛すること|最所あさみ
  • 美的感性という資産|最所あさみ

    はじめて金沢に行ったのは、大学卒業直前の春先だったように記憶している。 もう雪こそ降っていなかったものの、宿で布団に入ったときのしんとした寒さは昨日のことのように思い起こされる。 凛としていて、柔らか。 洗練されていて、華やか。 それが金沢の第一印象だった。 上京して10年余、九州以外の土地で『ここなら住めそう』と思ったのは、今のところ金沢だけだ。 好きなまちはたくさんある。でも生まれ育ったまち以外に長く暮らすイメージは、東京にすらも持てない──。 そんな私が縁もゆかりもない金沢になぜ惹かれたのか、その理由は自分でもわからない。 屋さんがたくさんあることも、ごはんがおいしいことも、文化的な施設が充実していることも、どれも素敵な部分ではある。 ただ『居心地のよさ』というものは、きっと言葉にできない要素で構成されているのだと思う。 そんなに惹かれた街だったにも関わらず、なかなか北陸に行くよう

    美的感性という資産|最所あさみ
  • ビジョンには、 "嘘"をついてはいけない #お店note|最所あさみ

    金曜日は中川政七商店取締役の緒方さんに『ビジョンファースト経営』をテーマにお話を伺いました。 そしてこの日たまたま打ち合わせで来ていた深津さんにも急遽登壇していただき(!)、noteのビジョン/ミッション設定も交えながら、いかにしてビジョンを核にした企業経営やサービスづくりにあたっていくべきかを語り合いました。 今回図らずも二社のミッション/ビジョンへの向き合い方を聞くことになったわけですが、それぞれアプローチは違うのに質的な部分はとても似通っていたのが印象的でした。 中川政七商店はビジョンファーストですがnoteはミッションファーストだし、リッツカールトンのようにクレドが強い企業もあれば、P&Gのように『ブランドパーパス』を重視する企業もある。 『ミッション・ビジョン・コアバリュー』をセットですべて決めなければならないわけではなく、自分たちが何かを決める際に立ち戻る価値観としての『言葉

    ビジョンには、 "嘘"をついてはいけない #お店note|最所あさみ
  • 行きたい場所になり、会いたい人になる。|最所あさみ

    あっというまに2週間が経ってしまいましたが、8月末に長野のわざわざさんのところに行ってきました。 ▲お店の前でオーナーの平田さんと共に記念撮影!「WELCOME」のボードは長野在住メンバーの張さんが作って待っててくれたもの…!感謝…!夏休み最終週とあって、わざわざさんの駐車場には長野県外からきた車がずらり。(もちろん私たちも。笑) でも観光スポットになっているわけではなく、ひっきりなしに地元のお母さんたちが軽トラに乗ってパンを買いに来る姿に、改めてわざわざさんの強さを感じました。 真剣に店内をみていたらうっかり写真を撮り忘れたので笑、一緒に行ったメンバーのヤマシタさんのnoteもあわせてどうぞ!わざわざさんまでの行き方や注意点までまとめていただいています。 わざわざさんの店舗はこだわりがぎゅっと詰まっていて、まるで宝探しのように所狭しとセンスの光る暮らしの道具が並べてある空間がとても素敵な

    行きたい場所になり、会いたい人になる。|最所あさみ
  • 日本は、「スモールビジネス大国」を目指すべきなのかもしれない|最所あさみ

    小売の視点からも、中国はもはやシリコンバレーやNYを軽々と追い抜いて世界の最前線に躍り出たといっても過言ではない存在。 特集に出てくる企業の話も、どれもダイナミックでスケールが大きくて、改めて中国の勢いを感じています。 そしてちょうど今週はラグジュアリーECの巨人・Farfetch上場のニュースも飛び込んできました。 私は日々小売について考えたことやニュースも発信しているのでよく「日で面白い企業ないですか?」と聞かれるのですが、こうした海外の動きに比べると、正直小粒な話が多いのが現実です。 そしてその流れは今後も大きく変わることはないだろうと個人的には思っています。 以前「私たちがこれから、中国に勝てなくなっていく理由」という記事にも書いたのですが、企業の成長はその企業の努力だけではなく、消費者の特性も重要なポイントになります。 というのも、企業の商品やサービスがマネタイズできるようにな

    日本は、「スモールビジネス大国」を目指すべきなのかもしれない|最所あさみ
  • あらゆることを肯定して生きるということ|最所あさみ

    私は、自分が好きなものを全力で『好き』と言ってまわるのが好きだ。 いいものがもっと多くの人に見つかってほしいし、同じものが好きな人と『いいよね』『最高だよね』と言いたい。 でも昔からそうだったわけではなくて、思春期はもっとひねくれていて自意識も過剰だったので、何かを否定する方が自分が優位に立てると無意識に感じていたような気がする。 他者を否定することで、自己を肯定する。 これは麻薬のようなもので、たしかに一瞬は効果があるけれど長くは続かない。 なぜなら、否定によってハードルを上げることは、我が身を振り返った時に自分の首を締めることにつながってしまうからだ。 よく人の脳は主語を理解できないというけれど、そもそも何かを否定ばかりしているとどんなに表向きは強がっていてもうっすらとした自己嫌悪が心に積もっていく。 何かをやっている人に対して、行動も起こしていない自分は何をやっているのだろうかという

    あらゆることを肯定して生きるということ|最所あさみ
  • 「考える」とは、自己と向き合う時間|最所あさみ

    「インプット」と「アウトプット」という言葉がある。 を読んだり話を聞いたり、自分の中に何かを取り入れる「インプット」と、それを自分なりに咀嚼した上で表現する「アウトプット」。 この2つのバランスが大事だというのは至るところで言われていることだ。 特にアウトプットは意識しなければできないことでもあるので、行動に移すとか文章やトーク、それ以外にも絵や音楽など何かしら表現することは是とされている。 たしかに、日がな1日スマホを眺めただけで満足感を得てしまうよりは、明確にかたちあるアウトプットを作る方が何倍も自分を成長させる。 ただ、来インプットとアウトプットの間には「考える」というフェーズが必要なはずだ。 借りてきた言葉ではなく、自分の言葉として表現すること。 その2つの違いを作るのが「考える」ということなのではないかと思う。 *** 言葉が思考の道具であり、同時にアウトプットのフォーマット

    「考える」とは、自己と向き合う時間|最所あさみ
  • ことをなすために需要な「上方影響力」|最所あさみ

    こないだアシスタントのこまみちゃんから「幕末のリーダーから学ぶリーダーシップ」というを借りて読んでみました。 大学のテキストなので非売品なのですが、わかりやすい言葉でまとめられており、こういう歴史とビジネスをつなぐがもっと増えるといいのになあと思います。 ちなみに勝海舟ファンとしていの一番に勝海舟の章を読んだのですが、その中に出てきた『上方影響力』というワードが面白かったのでご紹介。 勝海舟はもともと貧乏藩士の家の子なのですが、最終的には幕府の要人として江戸無血開城のための交渉まで行った人です。 幕末の混乱期とはいえ、世襲と封建制度が根強かった幕藩体制の中でこれだけ出世したのは異例のことではないかと思います。 その理由として挙げられたのが、前述の上方影響力。 卓越した洞察と戦略思考、そして実行力で仕組みを変えてきた勝海舟は、部下でありながら上司に影響を与え、最終的に将軍からも頼りにされ

    ことをなすために需要な「上方影響力」|最所あさみ
  • 「好きなことをやる」という劇薬|最所あさみ

    人の働き方が多様になり、どんどん自由になっている今、「好きなことをやって生きる」ということが現実のものになってきました。 実際、私もコツコツ自分の好きなこと、興味のあることについて発信していたら共感してくれる人が増え、今は会社でもプライベートでも好きなことをたくさんやっています。 でも、一方で「好きなことをやって生きる」という言葉を額面通りに受け止めすぎると危ないのではないか、ということも同時に思っています。 ちょうど最近読んでいた「葉隠」の中で、こんな一節がありました。 『人間一生誠に纔(わづか)の事なり。好いた事をして暮らすべきなり。夢の間の世の中に、すかぬ事ばかりして苦を見て暮すは愚なることなり』 人の一生はほんのわずかの間のことだからこそ、自分の好きなことをして生きるべきである、という今にも通じる主張は、現代と同じ普遍的な真理なのだと思います。 しかし、その後には次の言葉が続きます

    「好きなことをやる」という劇薬|最所あさみ
  • 「いいコミュニティ」の作り方 #コミュニティを考える|最所あさみ

    佐渡島さんと語るコミュニティ論は、これまで私なりに考えてきたことに対して『それは違うと思うんだよね』と指摘していただくことがたくさんあり、どっちが正しいかではなく、自分の思考を深めるきっかけになりました。 特になるほどと思ったのが以下の3つ。 ①最強のコミュニティはアメリカジャニーズは40年も前からコミュニティを意識していた ③Liker→Comitterではなく、まずComitterを作ることが大事 これだけだとなんのこっちゃという感じだと思うので、ひとつずつ解説して行きます。 1.最強のコミュニティはアメリカ今回、佐渡島さんに聞きたいと思っていたのが『参考にしているコミュニティはありますか?』ということ。 そこで返ってきたのがまさかのアメリカ! たしかに、アメリカをひとつの巨大なコミュニティとして見ると、国民というコミュニティの一員になるにはしっかりした審査があり、且つ "アメリカ

    「いいコミュニティ」の作り方 #コミュニティを考える|最所あさみ
  • 「好き」に素直になるために|最所あさみ

    どうやら私は、何かを好きになる能力が人より長けているらしい。 『好きになる能力』なんていうと、努力したり意識したりして好きになっているように聞こえるけれど、厳密にいうと『好き』のハードルが低い。 さらに言えば、普通は無関心から気になる、そして徐々に好きになっていくのだと思うけれど、私はスポーツカー並みにはじめからトップスピードで駆け抜けるタイプだ。 そして、自分の好きなもの、いいと思ったものは全力で『いい』と言いたい。というか、もはや言いふらしたい。 私の好きなものを、みんな好きになってほしい。 だって、好きなものを『いいよね』『素敵だよね』と言い合う相手は1人でも多い方が幸せだと思うから。 そして自分の好きな人たちがたくさんの人に応援されて、もっともっと大きく成長していってくれたら、それが一番幸せだと思う。 *** 私は自分の『好き』に対してわりと素直な性格だと思うのだけど、それは小さい

    「好き」に素直になるために|最所あさみ
  • センスを育むために必要なもの|最所あさみ

    『 "読む"ができる人は必ず "書く"もできる』 これは私の中で確信していることのひとつです。 そしてこの考え方の根底にあるのは、センスはインプットとアウトプットの総量によって育まれるということ。 たくさん読んできた人は、自分の中に独特のリズムと美意識を形成しているので、いきなり書かせてもリズム感のある文章を作ることができます。 そして漢字とひらがなのバランスや語尾のバリエーションなど、何も言われなくても体感で文章の美醜を判断できるもの。 だからこそ私は、ものを書く人には必ず『何をどれだけ読んできたか』を聞きます。 内部留保がたくさんある人は、少しくらいアウトプットが増えても簡単に枯れたりしないから。 *** 文章だけではなく、ファッションセンスも音楽センスも何もかも、すべてはインプット量に比例するものだと私は常々思ってきました。 洋服を買う場所なんてない片田舎で育った私が、生まれも育ちも

    センスを育むために必要なもの|最所あさみ
  • 自分を信じてくれる場所をもつこと #notemeetup 後記|最所あさみ

    早々にTogetterにもまとめていただき、ありがとうございました!実況ツイート多めだったので嬉しい…!(created by しまこーさん) 当日は100名近くの方が足を運んでくださり、noteの中の人たちの気遣いやあたたかさがそのままリアルに体現された『優しい』空間でした。 最後にnoteへの愛をぶちまけていいタイムをいただいたので熱弁したのですが、noteのいいところはやっぱり『優しい』ことだなと改めて思った次第。 以前「いい人」と「悪い人」を分かつものという記事を書いたことがあるのですが、人は多面的なのでいい人も四六時中いい人なわけではないし、悪い人だってずっと悪い人でいられるわけではありません。 人は鏡と言われるように、自分が相手のいい部分や悪い部分を引き出しているに過ぎないのです。 つまり、noteというプラットフォームは、単にいい人が集まっているだけではなく、さらに人のいい部

    自分を信じてくれる場所をもつこと #notemeetup 後記|最所あさみ
  • これから重要になる "バズらない力"|最所あさみ

    この記事の中で特に印象的だったのが「大ヒットしないように気をつける」という話。 私自身、最近あえてバズらない力について考えていたところだったので、自分の考えている方向は間違っていないのだという確信が得られた記事でもありました。 これに関してはNewsPicks上でコメントした後に連続ツイートもしたのですが、瞬間風速的な盛り上がりは自分のステージを上げるという意味で1、2回くらいは必要とはいえ、祭りを作り続けられる人というのはごく少数。 大半の人はスキルよりも先に、メンタルの方が消耗するからです。 私も過去に何度か10万PV以上の体験をしたことがあり、そこからさらにいろいろなメディアに出していただきました。 そのときに感じたのは、露出が自分の身の丈を超えると危険だということ。 あるレベルを超えると『届いた嬉しさ』よりも『わかってもらえないストレス』の方が上回ってしまうからです。 数字に単純化

    これから重要になる "バズらない力"|最所あさみ
  • なぜ人は見た目が9割なのか?|最所あさみ

    昨日から「#女の価値を決めるバッグ」というハッシュタグがトレンドに入っているのを見ながら思ったことメモを備忘録的に。 個人的には持ち物や身につけているものでその人のことがある程度わかると思っていて、『人は見た目が9割』はわりと真理だと思っています。 よく言われることですが、ファッションは一番外側の中身。 洋服を身につけるということは、自分の選択した結果を晒しながら歩いているということでもあります。 ただ、その選択の理由には様々あって、単にデザインがかわいいから選んでいる場合もあれば、親子三代受け継がれてきたストーリーのある一品かもしれません。 そればっかりは人に聞いてみないとわからない。 だから私はまわりの人に「それ素敵だね!どこで買ったの?」と聞くのが好きなのですが、選択の背後にあるストーリーとは別に、その人の思考が浮かび上がってくるポイントがあります。 それは、『自分の特徴』と『自分

    なぜ人は見た目が9割なのか?|最所あさみ
  • 「とくべつ」はきっと、"違い"じゃなくて"近さ"のこと|最所あさみ

    あらゆる分野で選択肢が増えてきた今、「差別化」は重要なテーマです。 しかし、たくさんの企業が一斉に差別化をはかるようになったことで、「違い」だけで特別な存在になることの限界がきているのがちょうど今の時代なのだと思います。 例えば、コンビニでずらりと並んだお茶のペットボトルの中から「これ!」と思うものを選び出せる人はどのくらいいるのでしょうか? 大半の人は、適当に目についたものを手に取っているのでは無いかと思います。 そうすると結局価格やノベルティでの勝負になり、その先には疲弊しかありません。 では、膨大な商品の中から選んでもらえる「とくべつ」な存在になるには、何が必要なのか。 私は、そのキーワードこそが「近さ」だと思っています。 これは最近コミュニティマーケティングなどの文脈で語り尽くされていることではありますが、例えば同じクッキーでもコンビニの棚に並んでいるものと、友人がファーマーズマー

    「とくべつ」はきっと、"違い"じゃなくて"近さ"のこと|最所あさみ
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