僕は非常にクライアントに対して腰が低く、要求する報酬もリーズナブルなタイプの物書きである。まあ、ライターなんて大抵そういう人間が多いんだけど、そんな僕には最近になって弟子が2人出来た。 弟子が食えるように面倒を見るのも大事な仕事なので、仕事を見つけてきて、この2人に「これやってみ」と紹介してみた。 不思議なもので、自分がもらう報酬については高望みしないんだけど、いざ弟子のために仕事を探すとなると、報酬をできるだけ高く吊り上げようとするのだ。ついさっきも、「ライターなら紹介するから金いっぱい出せ!」と、喧嘩腰で交渉し、僕の原稿料の相場の1.5倍の単価の案件を確保し、これを弟子たちに提供したばかりだ。 仕事をするには、多少の無茶と強引さは必要なものなのかも知れない。というか、弟子のために慇懃無礼に相手の足元を見る根性があるんなら、僕自身もあと少しだけ貪欲になりたい。(文:松本ミゾレ) 「自分の