「降る雪や 明治は遠く なりにけり」と、俳人・中村草田男が詠んだのは、昭和6年の頃だったという。間に大正を挟んで、明治から20年以上を過ぎ、失われた時代への感慨を含めた句である。 現代をふりかえって見れば、今年で平成も既に27年。最後の昭和生まれ世代は壮年を迎えようとしており、平成生まれの会社員も珍しくはなくなった。 「昭和は遠くなりにけり」と詠っても違和感のない時代である。世界大戦、敗戦、占領、そして復興、バブル景気…昭和という激動の時代と共に生き、そして昭和の面影を残すラーメン店が、不動前に存在する。 『中華 こばやし』 は、今年で創業50年を迎える。この品川の下町で生まれ育った、店主の小林保男さんが、この地に店を構えた年、昭和40年という年はどういう年だったのだろうか。 時は高度経済成長まっただ中、「君といつまでも」「函館の女」が流行し、映画「網走番外地」が公開された。読売巨人軍V9