山形浩生 (『をちこち』 2008年6月1日発売号) 要約:プロジェクト杉田玄白は、翻訳をしたい人と、翻訳されたい文章マッチングさせるような場として考えられているし、各種フリーソフト運動にも影響を受けている。今後、札束勝負とかできるといいなあ。 日本は翻訳文化だと言われる。それは日本文化というものが、二世紀弱前までしょせんは(かなりのローカルな展開を見せたとはいえ)シナ文化の周辺文化でしかなく、そしていまは欧米文化の周辺文化でしかないという事情からして仕方のないことだ。これは別に、日本文化にユニークなところがあるのを否定するわけじゃない。でもその「ユニーク」を唱える人を問い詰めれば、結局それは、日本的あうんの呼吸に頼るものだったり非常にローカルな情緒や自然環境に依存したものばかりで、砂漠の真ん中でもツンドラのさなかでも通用する代物かといえば、そんなものは一つもない。だからぼくたちは、いろん