筆者は外務省に勤務していたときに、国会議員の関与した案件に関する決裁書や報告書を多数作成した。その経験に照らした場合、今回、財務省が書き換えを認めた文書は、高いレベルの幹部にまで配布されていると思う。財務省が本当に隠したいのはこの事実ではないかとみている。 財務省は本件を理財局の一部職員による「暴走」として処理しようとしているが、霞が関(官界)の相場観からして、そのようなことは絶対にない。財務省の高いレベルが、細部はともかく、書き換えについては早い段階から知っていたが、麻生太郎副総理兼財務相には伝えていなかったのだと思う。 野党はこの問題を安倍晋三政権に打撃を与えるために最大限利用している。しかし、本件を政争の具にすべきではない。 冷静に考えてみよう。安倍政権が永続することはない。官僚が政治家におもねる体質が今後も続くと、外交において国益を毀損(きそん)する事態が生じかねない。将来、北朝鮮