6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。 投稿者:HATA - この投稿者のレビュー一覧を見る 「血と骨」を読み終えてくたくたになったところで、うっかりこの「夜を賭けて」を手に取ってしまい、またしても寝食忘れて没頭するはめに陥った。 こんな疲労の極地にありながら、心身ともに充足感でいっぱいだ。 物語が始まる前に、本作と同じタイトルの詩文が4ページに渡り収められている。 1958年作とあるから、昭和33年、著者22歳の青年時のものだ。 本作品を書き上げて初の刊行(NHK出版・1994)に至るより36年も前、まさに物語の舞台となったその時代そのときに、書き記されたものである。 その詩文に満ちているのは、若き梁石日の身体から溢れ出て止まらない熱、力、叫びと憎悪を直接的に書きなぐるような、それでいて幻想的で力強く、そして吐き気を呼ぶほどのグロテスクな描写である。 若い著者がその