名曲やヒット曲の秘話を紹介する連載「歌っていいな」の第34回は、1978年(昭53)に発表された山口百恵さんの「いい日旅立ち」です。国鉄(現在JR)のキャンペーンソングだったことは有名ですが、歌のタイトルに、ある秘密が隠されていたことは、あまり知られていません。当時の制作過程を関係者の証言からたどります。 ◇ ◇ ◇ 「国鉄のキャンペーンソングを、ぜひ作って欲しい」。1977年(昭52)の初秋、百恵さんが所属していたソニーレコードに、広告代理店を通じて、国鉄から依頼があった。 百恵さんは当時、20歳を前に、森昌子さん、桜田淳子さんの、いわゆる「中3トリオ」で競い合っていた時期を卒業し、独自の道を歩み出していた。百恵さんを当時担当していたプロデューサーの酒井政利さんは「山口百恵さんを、美空ひばりさんに次ぐ国民的歌手に育てたいという意識が社内に芽生えていた時期で、国がスポンサーでもある