スティーブ・ジョブズが自身に宛ててメールを送り、そのなかで思いがけない洞察を記したのは、彼が亡くなる1年前、2010年9月のことでした。 …と聞けば、どんな内容のメールだったのか、気になるところ。 技術革新にまつわる彼自身の壮大なビジョンを記したのか? はたまたAppleの10カ年買収計画だったのか? 答えは、そのどちらでもありません。 孤高ではなく協調だった彼が記したこと、それはよくあるビジネスメモや技術的なブレインストーミングなどではなく、彼がいかに周囲の人に支えられて生きてきたかということでした。 彼はこう書いていたのです。 自分が食べるものは、ほぼすべて他人がつくってくれたものだ。現世を生きる人も今は亡き人も含めて、私はこの人類を敬愛し、尊敬している。 完璧へのあくなき追求と革新の代名詞と言われたジョブズでしたが、彼がそこに残したのは彼のこれまでの業績ではなく、むしろ彼が「いかに周