仕事選びについて昔からずっとされている議論に、「好きなことを仕事にするべきか」というものがある。 たとえば村上龍の『13歳のハローワーク』あたりだと、この考え方が全面的に肯定されている。「仕事は人生の大半を占めるのだから、そこで好きなことをしないでどうするんだ」という意見を言う人もいる(実際に計算してみると、どんなに多くても仕事は人生の30%も無いのだけど)。仕事の「環境」よりも「やりがい」が強調されることが多い日本では、基本的に「好きなことを仕事にすべき」という意見は多い。 仕事Aと仕事Bがあって、仮に他の条件(給料とか人間関係とか拘束時間とか)がすべて同じであれば、誰だって「好きなことに近い仕事」の方を選ぶだろう。また、嫌いで嫌いでしょうがないことを仕事にするのも普通は避ける。「仕事に対する好み」が職業選択の際に考慮すべき一つの変数であることには僕も同意する。 ただ、「好きなことを仕事