昨年6月の白昼、休日の買い物客でにぎわう東京・秋葉原の交差点に男がトラックで突っ込み、次々と人々をナイフで刺し、7人が死亡、10人が負傷した通り魔事件は、今も記憶に新しい。 08年の犯罪動向をまとめた今年の犯罪白書によると、凶器を使って人を無差別に殺傷する通り魔事件が、秋葉原事件を含め14件起きている。04年以後07年までの4年間が各3、6、4、8件だから、データは少ないものの急増ぶりが目立つ。 一方、警察庁によると、今年に入り強盗や事務所荒らし、ひったくりが増加している。昨年9月のリーマン・ショック以後の経済・雇用情勢の悪化と一定の関連性があるとみている。秋葉原事件の被告は、派遣社員として各地を転々とし、動機を「人生のうっぷんが出てきて嫌になった」と供述した。経済の行き詰まりが凶悪事件に結びつく昨今の殺伐とした世相が浮かび上がってくる。 白書の数字では、検挙率が気にかかる。交通事故を除く