ブックマーク / blog.livedoor.jp/route408 (9)

  • 「コク味」の分子 : 有機化学美術館・分館

    8月26 「コク味」の分子 カテゴリ:味・におい においや味に関する表現というのは、なかなか他人に伝わりづらいものです。たとえばの話、「コクがある」という表現はよく使われますが、それって何?と聞かれると、わかるように説明するのはとても難しいのではないでしょうか。 ちょっと調べてみると、コクは基五味(甘味、塩味、酸味、苦味、旨味)に分類されるものではなく、味の深み、濃度感、充実感といった感覚のようです。いくつかの味が絡まりあったり、同じ味でも長い時間感じていると「コクがある」という感覚になるものだそうで、言葉にするには大変ややこしい、書き手泣かせの味覚です。 化学屋としては、じゃあそのコクってのは分子レベルでいうとどういうことなの?と思ってしまいます。と、実は「コク」を与える化合物というものが存在しているのだそうです。へえっ、と思ってしまいますが、そのコク味の担い手がグルタチオンだというの

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    tdam 2014/08/26
  • ナノチューブの「成長因子」 : 有機化学美術館・分館

    8月11 ナノチューブの「成長因子」 カテゴリ:炭素材料 カーボンナノチューブ(CNT)が画期的な材料であることは、館などでも何度か触れている通りです。ただしその応用がもうひとつ進まないのは、「形状の揃ったCNTが作りにくい」という点が、大きな障害となっているためです。 CNTは直径やねじれ具合が異なったものが無数に存在し、形状によって半導体になったり良導体になったり、性質が大きく違ってきます。これまでの方法では、いろいろな形状のCNTが混じったものしか得られず、ほしいものだけを作る方法は知られていませんでした。 さまざまなCNT 昨年、CNTの形状制御に大きく近づいたのは名古屋大学の伊丹らのグループです(記事)。彼らは、ベンゼン環がパラ位で環につながった「シクロパラフェニレン」(CPP)を有機合成の技術で作り、これをテンプレートにしてCNTを成長させる方法を編み出しました。しかしこれも

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    tdam 2014/08/11
  • STAP細胞の「不正」とは何だったのか : 有機化学美術館・分館

    4月11 STAP細胞の「不正」とは何だったのか STAP細胞の騒動が世間を揺るがせています。特に4月9日、小保方晴子氏が久方ぶりに姿を表し、記者会見を行ったことで、騒ぎは最高潮に達した感があります。 ブログではこの件に関し、今まで何も触れてきませんでした。専門外でもありますし、あまりよい話題でもないですし、筆者は他人の不正をあれこれ論評できるような偉い人間でもありません。 ただ、9日の会見を見て、「小保方氏の発言に納得した」「彼女の言うことを信じた」という人が多数派であったのには驚きました。ネットでのアンケートでもそうですし(※)、テレビ番組での調べでも、6〜7割の人が小保方氏を支持するとの結果が出ていました。これはずいぶんとずれが生じているかなと感じたので、思い切ってこの件について書いてみます。 (※)4月12日現在では投票結果が逆転し、「納得できなかった」が多数派となっているようで

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    tdam 2014/04/12
  • 純粋な試薬がよいとは限らないという話 : 有機化学美術館・分館

    2月24 純粋な試薬がよいとは限らないという話 カテゴリ:有機化学 反応がうまくいかない時は、基質や試薬をきちんと精製し、溶媒を蒸留して再チャレンジ……というのが化学者の常識です。ところが、精製して邪魔な不純物を除くと、うまくいかなくなることも世の中にはあるようです。 *   *   *   *   * 有機化学の歴史をたどってみると、不純物が呼んだ発見や混乱は相当数あるものです。有名なZiegler-Natta触媒は、フラスコに残存した試薬をきっかけとした発見でしたし、野崎-檜山-岸反応(NHK反応)は、試薬メーカーや製造ロットによって収率がばらつくことから、詳しい反応機構が判明したといういきさつがありました。 また2009年には、鉄触媒で進行すると報告されていた反応が、実は試薬に含まれる微量不純物の銅が真の触媒であったというケースもありました(記事)。このあたりのことは、たとえば「化学

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    tdam 2014/02/25
  • 化学家紋 : 有機化学美術館・分館

    2月10 化学家紋 カテゴリ:雑記 さて先日、ツイッターで「現代家紋」というのが流行っていました。まあこんな感じ↓で、どこかで見かけたようなマークや記号を、家紋風にアレンジして遊ぼうというものです。秀逸な作品も多く、まとめもできています。 西村備山@lipoyang頭合セ三ツWiFi #現代家紋 http://t.co/BFHfaat93n2014/02/06 21:31:48 ということで、化学版の家紋というのもあると面白いかなということで、いくつか考えてみました(筆者は決してヒマを持て余しているわけではありません)。 ・亀甲 有機化学の基はやはりこれ。日の伝統文様とも違和感なくなじみます。 ・丸にフラーレン みんな大好きフラーレン。五員環を黒く塗ったほうが、紋様としては引き立つかもしれません。 ・丸に三つ水分子 水素結合している方がよいという声がありましたが、筆者の腕ではまとまりが

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    tdam 2014/02/11
  • ベンゼン環を引きちぎる : 有機化学美術館・分館

    1月18 ベンゼン環を引きちぎる カテゴリ:有機化学 よく「亀の甲」などと呼ばれるベンゼン環の正六角形構造は、有機化学の象徴と呼ぶべきものです。グラファイト、PETなど身近な物質、フラーレンやカーボンナノチューブといった先端炭素材料も、このベンゼン環の安定性を基礎に出来上がっています。一面で、PCBやダイオキシンなど、環境中からなかなか消えてゆかない有害物質の頑丈さも、このベンゼン環の安定性に由来するものです。 PCB(上)とダイオキシン(下)。いずれも一例 ベンゼン環の持つこの安定性は、6つの炭素が持つπ電子が共鳴し、全体に行き渡って(非局在化)いることによります。図の上では単結合と二重結合が描いてありますが、実際には全てのC-C結合は1.5重結合というべき等価なものになり、安定化しています。この効果こそが、有機化合物の世界を格段に幅広く、奥深くしているといっていいでしょう。 ベンゼン

    ベンゼン環を引きちぎる : 有機化学美術館・分館
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    tdam 2014/01/18
    反応後もベンゼンがあるけど、4+4=8ではなく「引きちぎられた」ことは同位体ラベルで確認しているんでしょうな。
  • 自動車部品の供給不足がまた起きる? : 有機化学美術館・分館

    4月22 自動車部品の供給不足がまた起きる? 3分子のブタジエンが、ニッケル触媒の存在下で環化する有名な反応があります。原型は1950年代に報告された古い反応で、触媒によって様々な生成物ができることが知られています。遷移金属の重要性が知られるきっかけのひとつになった反応で、いわば有機金属化学の古典といえるでしょうか。 ブタジエンが3分子で環になり、12員環を形成する。 この反応は、工業的にも大きな意義を持っています。生成物である12員環化合物(1,5,9-シクロドデカトリエン, CDT)は、ポリマーの原料として重要なのです。 シクロヘキサノンからオキシムを経てベックマン転位反応で7員環のラクタムとし、これを重合させて6-ナイロンを作る反応は、教科書にも必ず出てくる有名なプロセスです。先の反応でできる12員環化合物を同じように反応させれば、炭素鎖が長いナイロンができてきます(ポリアミド12、

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    tdam 2012/04/22
    "CDT生産の最大手であるドイツ・エボニック社の工場が3月31日に火災を起こし、少なくとも操業再開に3ヶ月ほどかかる" エボニック…胸スポンサーのドルトムントは優勝したのにな。今日は三井化学も火災か…。
  • スライムの青のこと : 有機化学美術館・分館

    12月1 スライムの青のこと さて昨日からツイッターなど眺めておりますと、どうやらこいつが大人気のようであります。 ずどーん。 ドラゴンクエスト発売25周年を記念した、ファミリーマート限定で売っている「スライム肉まん」なのだそうです。実は筆者はドラクエなるものを一度もやったことがなく、この形態を見ても何の感興も呼び起こされないのでありますが、まあかつてやりこんだ方々にはたまらない商品なのでありましょうね。 しかしこの商品、色が普通の肉まんにはあり得ないスカイブルーです。青ってのは基的に欲を失わせる色なんだそうですが、まあこの場合やむなしでしょう。しかしこの色を何で出しているのか、化学者としては気になるところです。青色1号か何かかなと思ったら、「合成着色料を一切使用しておりません」とのことです。天然由来のものってことですね。 青色1号。いかにも人工な構造。 実は生物界にあって、青という色

    スライムの青のこと : 有機化学美術館・分館
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    tdam 2011/12/01
    "以前から述べております通り、天然だから安全、合成だから危ないというのは幻想に過ぎません。化合物の安全性は、合成とか天然とか大ざっぱなくくりではなく、個々の化合物について論じられるべき"
  • 「ヒ素生物」の衝撃 : 有機化学美術館・分館

    12月4 「ヒ素生物」の衝撃 昨日は、NASAから「宇宙生物学上の発見に関する会見」が行われるということで大いに盛り上がりました。筆者も「ついにどこかで宇宙生命がとっつかまったか」と期待したのですが、実際はカリフォルニアの塩湖で見つかった新種の細菌の話でした。なんだよ期待させやがってと一瞬思ったんですが、よく聞けばやはり凄い話で、この細菌はなんと毒性元素として知られるヒ素を体内に取り込み、DNAに組み込んで生活しているというのです。これはまあ宇宙人発見とはいわないものの、どう見ても世紀の大発見としか言いようがありません。さらにいろいろ聞くにつけ、この細菌は実に「ななななんじゃこりゃ」的な代物であるようです(論文はこちら)。 問題の細菌、GFAJ-1。 GFAJ-1と名付けられたこの細菌(こんなカメラの型番みたいなのではなく、もっと素敵な名前を考えてやってほしいですが)が見つかったのはカリフ

    「ヒ素生物」の衝撃 : 有機化学美術館・分館
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    tdam 2010/12/05
    "タンパク質の持つSH基(メルカプト基)に結合してしまい、その機能を阻害することによります。GFAJ-1はどのようにしてこの毒性を回避しているのか"確かに不思議だが、むしろこの菌を汚水処理に使えば?と思う。
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