カズオ・イシグロの「充たされざる者」を読み終えた。やっと読み終えた。1000ページ近くある本で、中盤あたりを読んでいるときは正直なところ苦痛でしょうがなかった。一体何の話をしているのだろう、いつになったら話が進むのだろう、そんな疑問を抱えたまま物語はあちこちへふらふらと漂っていた。先に読んでいた人はこの小説の感想を「悪夢のようだった」と語った。その気持ちはわかる。少なくとも単純な小手先のエンタメではない。その長さも相まって、多くの人が途中で投げだしたことだろう。しかし、中盤を越えたあたりからなんとなく本全体の様相が掴め「そうか、これはカフカの城だ」と思うと妙におもしろく感じてきて途端に読むペースが上がった。最初から中盤までの半分ほどの時間で、中盤から最後までは読み終えることができた。 掴みどころのない物語 他の作品は忘れよう 掴みどころのない物語 この本のつらいところはページ数やふらふらと