2011年3月11日の福島第一原発事故では1京~3京ベクレルのセシウムが海洋に放出されたようだ。それまで唯一の原爆被爆国で、第五福竜丸など核実験でも被害者であり続けた日本が、核については加害者に変わった瞬間だった。 科学的に影響は追跡対象に この転換が意識にあるせいか、私自身も雑誌を見ていて「Fukushima(フクシマ)」がタイトルにあると気になる。ただ、加害者、被害者といった政治的な問題を離れて、実際には福島原発の未曾有の事故をさまざまな角度から科学的に追跡されている。 今回紹介するカナダのベッドフォード海洋研究所からの論文は、福島からのセシウムが海流に乗ってカナダに到達する過程を調べた論文だ。米国科学アカデミー紀要オンライン版に掲載された。 タイトルは「福島の放射性汚染物が北アメリカ大陸の水域に到達した(Arrival of the Fukushima radioactivity