特集は「成長戦略を支えるジャパン・ブランドの発信力強化に向けて」 ジャパン・ブランドの「ジャパン」を掘り下げ発信することへの提言として書かせてもらいました。 「伝統を新たな付加価値につなげるために」 私ごとだが、この春、17年間勤めた東京大学を離れ、立川市にある国文学研究資料館という大学共同利用機関の館長に就任した。国文学研究資料館(以下「国文研」)という名前をご存知の方はどれくらいおられるだろうか。東大は誰もが聞いたことがあるけれど、「国文研」と聞いてピンとくる日本人は、その歴史と実績のわりには少ないように思う。筆者にとって新しい船出でもあるので、ここで国文研の活動を簡潔に紹介させていただきたい。 文学遺産を集約し共同利用というかたちで世界に開放 国文研は、日本全国に点在するこの国の古典籍(=近代より前に筆写、または印刷された書物のこと)をことごとく調査し、書誌データと画像として集積する