ある事で家族を失い、自暴自棄になっていた辻本拓海(綾野剛)は、ハリソン山中(豊川悦司)に誘われて地面師グループのメンバーに。そして、都心の一等地をめぐって、土地開発を焦る大手デベロッパー・石洋ハウスの青柳隆史(山本耕史)らを巧妙な罠(わな)にかけていく。一方、刑事・下村辰夫(リリー・フランキー)は定年を間近にしてハリソンを追い続けていた。地面師、大手デベロッパー、警察という3つの柱を軸にして、金と欲と土地に翻弄される人間模様が描かれる。 ――今回の『地面師たち』ですが、監督は原作のモチーフになっている事件自体に興味があったそうですね。 大根仁監督(以下、大根) 事件が起きた土地が自分となじみがあって、“地面師”というものに興味を持つようになりました。それで、何かの形で映像化できないかと思っていたんです。そうしたら2019年に事件を題材にした原作が出版されて、自分で出版社に連絡して映像化の権